佐賀の旅は4日目(2017年5月27日土曜)、前日はこの旅の目的の一つだった「カブトガニを見る」を達成し、気分もよくぐっすりだった。そして今日は伊万里からJR筑肥線・唐津線に乗って唐津まで行き、バスで呼子まで行って朝市と名護屋城を楽しむ予定。移動&観光なので、朝は早く、5時半起きで少し眠い。
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宿はパイプ椅子が衝撃だったが、夜にうるさいとかベッドが悪いとか臭いとかは全く無く、快適に寝られた。「ビジネスホテルみやこ」、少しのボロさや駅から少し遠いところに目を瞑れば合格点のホテルだ。
のんびりと準備して6時半には宿を出た。6時台の伊万里の街は快晴だが人の気配がなく、静かな散策にぴったり。そして廃屋も静かな中で存在感を放っていて、駅までの道のりはなかなか楽しい散策になった。
JR伊万里駅には6時45分頃に到着。駅員さんはいないので、改札をスルーしてダイレクトで1両編成の電車に乗る。車両はJR九州キハ125形気動車で車両にあるY-DCとは「YELLOW ONE MAN DIESEL CAR」の略だ、なんかカッコいい。
JR筑肥線西唐津行きの電車は6時52分に伊万里駅を出発、JR筑肥線を走り山本駅に7時36分に到着。山本駅で7時44分発のJR唐津線西唐津行きに乗り換えて7時58分に西唐津に着く。この筑肥線の旅、移動としか捉えていなかったが、とにかく美しい景色が広がる、最高の鉄旅だった。
山本駅の乗り換えでは、テンション高く乗ってきた電車や駅の写真を撮って、今まで乗ってきた電車に間違ってまた乗り込んでしまうミス。車掌さんに、「西唐津へは向かいのホームの電車の方が早いよ」と教えてもらわなければ間違えて乗ったままだった、危ない。
やってきた電車は、昔常磐線かなんかで見たようなタイプの電車だ。2両編成の車内には唐津の学校へ向かう高校生が多く乗っていてにぎやか。多いと行っても座れないほどではないのが良い。
学生さんや多くの乗客は終点の一個手前の唐津駅でほとんどが下車。すっかり静かになり、ローカル線の風情を増した電車は西唐津へと少しの乗客をのせて走り、やがて終点西唐津に到着した。
ここからは、路線バスに乗り換えて呼子まで行くローカルバスの旅。自分以外にも、3人が電車→バスという乗り継ぎをしていて、まっすぐにバス停に向かう。一人は韓国語のガイドブックを持った韓国からの旅行客で、ハングルなまりの英語で呼子へのバスはここで良いのかと尋ねられた。
昭和バスは8時5分の予定だが、少し遅れて8時9分に到着。これなら、さっきの伊万里からの電車に乗ったままでも8時3分着なので間に合っていたな。
バスには唐津方面からの一人を含めて乗客は4人。小さな市街地を抜けると山道を走り、山一つ越えるという感じで漁港の町・呼子に8時35分に到着した。さて、呼子といえばイカだが、何を食べるのかは全く決めていない、ぶらぶらして日本三大の一つである呼子朝市を楽しむことにする。
呼子の小さなバスターミナルを出て、左に進み朝市がある通りの方向へ。愛宕神社前の信号を過ぎて50mほど進むと朝市を開催している通りの南端となる。通りには「呼子朝市通り」という看板が掲げられているのですぐにわかる。
そこからは楽しい地元名産のオンパレード。イカを始めとする海産物の干物やBBQ用のサザエ、観光名所の七ツ釜でとれたひじき、まだ生きているイカや魚などの鮮魚、いかしゅうまいなど、魚介類がてんこ盛り。特に目の前で殻を割り、手のひらに中身をのっけてもらって食べるウニは絶品!最初は海の塩辛さ、後から芳醇な甘みがやってきてほんと美味しかった。この時期は甘さに優れる赤ウニが出て、10月ぐらいからバフンウニだかムラサキウニだかに切り替わるとのことだった。
魚介類の他には、地元産の野菜も豊富だった。朝市は、だいたい200mぐらいの長さに渡って露天と店舗で開催されていて、合わせると60~70軒近くはあると思う。
車の運転がないならぜひビールを片手に歩いてみて、殻割りウニを食べたり、その場で焼けるサザエや干物を楽しむのがここのベストだと思う。
ウニとビールだけではお腹が膨れないので、名の通った「よしや食堂」に入る。ここはアラカブの味噌汁定食980円が名物。アラカブはカサゴのことで、まるまる一匹入った味噌汁がメイン。味はちょっと蛋白だが、干物や小鉢がついてそこそこ満足感は味わえた。
食後はぶらぶらして豪商の屋敷「鯨組主中尾家屋敷」で節句の飾りを見たり、「唐津市呼子大綱引会館」で実際に使われる綱を見たり、「呼子三神社」で鷹の狛犬を見たり、干物屋の裏でネコと戯れたり、遊覧船を眺めたりしてからバスターミナルに戻る。
今度は、バスではなくバス会社が運行する複数人数が乗っかるジャンボタクシーで波戸岬まで移動する。ジャンボタクシーには5人ぐらいが乗車。これ、観光シーズンには乗れないこともあるのじゃないかと心配になる。ジャンボタクシーは11時ぐらいの便に乗車。
ジャンボタクシーは10分程で波戸岬に到着。運転手さんは、「帰りも乗るならここでまっててねー」と気さくに声をかけてくれた。この辺りの人は人当たりが良い気がする。
波戸岬のお目当ては、景色なんかではなく、「波戸岬新さざえのつぼやき売店」。なんだか長い名前だが、バラックのような建物にカウンターの食事処が横並びで入っていて、地元産のサザエを始めとする魚介類が楽しめるお店だ。
とはいえさっきアラカブの味噌汁定食を食べたばかりなので、ここは少し腹ごなしのために歩くとする。波戸岬には海の中の様子が見られる「玄海海中展望塔」「ハートのモニュメント」「岬神社」がある。
駐車場から「玄海海中展望塔」「ハートのモニュメント」までは歩いて300mほど。海の中に建っていて、海中をちょろっと眺められるだけの「玄海海中展望塔」550円には全く興味が無いのでスルー。そして、カップル御用達の「ハートのモニュメント」にも興味なしなので、ほんと歩くためだけに来た感じ。でも、「ハートのモニュメント」はカップルがハートの中心にドローンを通そうとチャレンジしているのが面白かった。何度もハートにぶつかってドローン弾かれていたけど、あの二人は今でも幸せなんだろうか。
玄界灘の絶景を堪能して「波戸岬新さざえのつぼやき売店」へ。さっきビールを飲んでいるので、良い気分でサザエが食べられそうだ。建物内はブースに分かれているような感じで、各ブースを一人のおばちゃんが切り盛りしている。
値段はどこも均一で
サザエのつぼ焼き500円(一皿3個~4個)
イカ焼き(タレ・塩)大600円・小500円
あわびのタレ焼き・塩焼き 大きさによって時価
牡蠣焼き 500円(一皿7~8個)
となっている。
とりあえず、どこも一緒だということが分かったので、人の良さそうなおばさまの前に座り、サザエのつぼ焼きをオーダー。カウンター内の焼台にはすでに焼かれたサザエが置かれていて、オーダーが入ると温め直すというやり方。「小粒だから」と5個ものせてくれたサザエはそこまで小粒ではなく、海の味がギュッと詰まっていてどれも美味しい!
焼台に乗せっぱなしでカッチカチに固くなっているのではと思ったがそんなことはなく、美味しかった。ただ、すこーしだけタレが甘めだった。これはほんと好みなので、基本的に間違いなくサザエが好きなら美味しくいただける品物。
また、カウンターには、のり佃煮や呼子のイカ・タコの塩辛、梅くらげ、などの瓶が試供品として置かれていて、これだけでビールが進んでしまう。試供品ばかり頼むのもあれなので、あわびのタレ焼きをオーダー。確か600~700円だった気がする。
朝鮮出兵美味い魚介にビールがすすみおばちゃんとの話もはずむ。ここで働いているひとはみんな地元の人で、昔はもっとすごかったって。バブルの頃なんかみんな外車でお客がやってきて一日何百個もサザエを焼いてって、懐かしがっていた。
そんで、「これから名護屋城いくんですよー」って話をしたら、「孫のお迎えに行かなきゃだから車で送っていってあげる!」とのこと。ありがたくお受けして、出発の時間まで少し合ったので、ビールをもう1本追加して、しばらくおしゃべりしてからお店をでることに。さっきのジャンボタクシーでも感じたが、このあたりの人感じ良い!
おばちゃんの車で名護屋城まで送って頂き、お礼を言って車を降りる。ちょうど名護屋城の南東にある「道の駅桃山天下市」の前に12時半ぐらいに到着。そこからは5分程歩いて、まずは名護屋城と道を挟んで反対側にある「名護屋城博物館」へと行く。
ここは、「日本列島と朝鮮半島との交流史」をテーマとした常設展示がメインで、その他にも文禄・慶長の役や名護屋城、朝鮮半島の文化、佐賀県・唐津・東松浦地域の歴史・文化などを題材としたテーマ展を随時開催する博物館。色々見られるのに無料なのが嬉しい。
また、ここでは、事前調査で気になっていた、AR機器を借りることにする。
ARとは拡張現実(Augmented Reality)のことで、現実世界とデジタルデバイスをリンクさせるもの。スマホのディスプレイに現実の映像を写しながら、その上にポケモンのキャラクターが登場するポケモンGOなどはARアプリの最たるものだ。
博物館で借りられる「バーチャル名護屋城」は、タブレットに現在の名護屋城の跡地を写しつつ、その上にアニメーションで大手口や東出丸、本丸、天守閣など、往時の名護屋城が表示されるというもの。
ただ歩いて当時の姿を想像するよりもはるかにリアルに名護屋城の姿をイメージすることができ、いままでのどの城跡散策よりも楽しかった。これも身分証の提示だけで借りられる無料のアイテムなので、ぜひ利用して欲しい。あと、入場料は清掃協力費として100円だけというものすごい。
名護屋城を堪能した後は、「道の駅桃山天下市」を見学。海の側だけあり、やっぱりイカやサザエ、煮干し、いかしゅうまいせんべい、イカ一夜干し、ひじき、いりこ、あおさなど、海産物のオンパレードだった。
さっき食べたばかりなのに少し小腹がへったので、ここでたこの代わりにイカが入っているというイカたこ焼き500円を注文するが、売切れとのこと。15時半の段階で売り切れってどうなってんだと怒りを覚えるが、しょうがないので普通のたこ焼きを500円を買う。
たこ焼きを食べつつジャンボタクシーを待ち、16時ちょっと前のジャンボタクシーに乗って呼子のバスターミナルまで行き、接続の通常サイズの路線バスに乗って本日の宿がある唐津まで移動する。さっきみた光景だが、道中は緑豊かで気持ちが良い。天気に恵まれてよかった。
やがてバスは16時35分頃には昭和バスの唐津バスセンター(大手口)に到着。バスセンターは1階にバスセンターやカフェ、2階に本屋や100円均一ショップ、3階に唐津市民交流センター、4~6階には役所が入ったそこそこ大きくて綺麗なビルだった。
ここから本日の宿「城内ホテル」までは徒歩で約8分。ホテルへ向かいつつ、建物観光をすることにする。
まずは、佐賀県遺産にもなっている鰻屋の「竹屋」を見てから「旧唐津銀行」へ。明治時代の美しいレンガ造りの建物は、中にはいることができ無料で見学できる。つやのある木目のカウンターや厳しい金庫室、豪華な応接間など、いろいろ見られて面白い。
「旧唐津銀行」を見終わると17時半頃。そろそろ少しお腹が減ってきたので、夕食はさっき見た「竹屋」にする。2階の畳敷きの和室で歴史的建築の雰囲気を味わいたかったが、上はなにやら法事でどこかの家族が賑やかに会食中、もとより1名客は1階なのかもしれないが、それほど歴史を感じない板張りテーブル席に通された。
メニューはうなぎ丼と肝吸、お漬物がセットになった「うなぎ丼 肝吸付」の並2460円をいただく。うなぎは身がふっくらですごく皮が厚く感じた。その皮がまた美味しくて、幸せな気分でお店を後にした。
お腹も満足したし、宿へと向かう。途中にはまいづる百貨店のまいづる本店というスーパーがあるのでそこで夜食の買い出しをして、「城内ホテル」にチェックイン。
ここは値段と口コミで選んだのだが素晴らしく大正解。なんと窓から唐津城が丸見えなのだ。昨日のパイプ椅子の宿とは異なり椅子はちゃんとしてるし、可変式のLEDライトやポット、ファブリーズもある。さらに、夜になると唐津城がライトアップされて、その姿を室内から撮れるというのも素晴らしい。
今日は移動と観光というなかなかハードな一日だったが、JR筑肥線の車窓の素晴らしさ、波戸岬さざえつぼやき売店の美味しさ、名護屋城の面白さ、うなぎの美味しさ、唐津城の美しさとかなり満足ポイントが多い一日となった。また、明日を楽しみにしつつ、明日はレンタカーで長距離ドライブなので、早めの就寝となった。