中国の航空会社「春秋航空」が中国と日本を結ぶ国際線と、日本国内の路線を運行するための会社として設立したのが、格安航空会社の春秋航空日本(Spring Airlines Japan)だ。
中国のLCCという響きからは、機材が汚いのではないか、時間通りに飛ばないのではないか、キャビンアテンダントが横柄なのではないか、などとネガティブなイメージを思い浮かべるかもしれないが、実際に乗ってみると全くそんなことはなく、料金は安いのに、適切なサービスを行う航空会社という印象を持った。
ここでは、セールで700円台という破格の値段で成田-佐賀を旅した時の話を中心に、春秋航空日本について紹介しようと思う。
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春秋航空日本を知ったのは偶然で、LCCのセール情報を扱うサイトを見ていたら、格安チケットの片道737円というとんでもない安値で「737円セール」というセールを行っている航空会社を見つけたからだ。
いくら格安航空会社が安い航空運賃のチケットを出しているからとはいっても、737円だと、電車なら佐賀駅から有田焼で有名な有田駅までの840円と同程度の価格設定だ。あまりの安さに燃油サーチャージや税金や手数料でとんでもない金額を取るのだろうと疑心暗鬼になりながら、予約手配を進めると、さすがに片道737円は無理だったものの、空港施設使用料の380円がかかり、1117円でチケットを取ることができた、それでも安すぎるよ!
あまりに安すぎて、信じられない感が強く、騙されているのではとドキドキが止まらなかった。これほど、ドキドキしたのは久しぶりだった気がする。ちなみに、往路(成田→佐賀)は窓側に座って初めての佐賀を空から見たかったので座席指定をして、400円がプラスされて1517円、復路は1117円で、合計2634円で飛行機の往復チケットを取ることが出来てしまった。一応そこに支払手数料860円がかかり、最終的には3494円となったが、それでも安いことには変わりない。座席指定をしなかったら3094円だ。
この値段は、電車では佐賀駅から大分駅までの3670円(片道)と同程度ということになる。
なお、このセールは、毎月7日に実施されていたもので、国内線片道737円~、国際線片道3737円~で搭乗できた。
春秋航空日本の席のクラスは、「スプリングプラス」「スプリング」「ラッキースプリング」の3つに分かれる。違いは、荷物の重量やチケット変更が可能かどうかなどで、セールで最安値で販売される「ラッキースプリング」の席は、機内持ち込みの手荷物が最大5KGまで。航空会社に預けて機内の貨物スペースに荷物を入れて運んでもらう、受託手荷物は不可、座席の指定は有料、チケットのキャンセルや変更は不可となっている。
つまり、荷物を5KG以内に押さえて、身軽な状態で行かなきゃならないチケットで、急な用事で旅行がキャンセルになっても料金は返却されないという買い切りチケットになっている。
ここまで驚愕の700円台というセールを紹介してきたが、残念ながら737キャンペーンは、本国・中国の春秋航空(SPRING AIRLINES)の999円キャンペーンとの合併が発表されていて、少しだけ高くなってしまっている。
ここで、春秋航空日本と春秋航空が2017年に行ったセールをまとめてみる
春秋航空のセールには※を付けた、あと価格は基本片道料金
となっている。
こうして見てみると、毎月7日~の定例で行っていた737キャンペーンは3月分で終了し、4月から春秋航空のセールと合体した新737キャンペーンになっている。しかし、その新737キャンペーンも4・5月と行われたきり、全く音沙汰がない状態だ。
6月以降のセールは散発的に行われていて、国内線1148円~、中国国際線999円~という価格が最低価格となっている。中国へ行く国際線のほうが、セール価格が安いというのが面白い。
2017年の6月までで見れば春秋航空日本のセール価格は圧倒的だ。
同じように1000円以下の価格でセールを行ったのは、
などとなっていて、春秋航空日本に回数的に並ぶのは、香港エクスプレスぐらいとなっている。
なお、737円は衝撃的だったが、1737円に値上げしても往復で2000円プラスになるだけなので、
往復では
飛行機チケット1737円×2
空港使用料380円×2
支払手数料550円×2 ※2017年7月から値上げ
燃油サーチャージ0円
で往復合計5334円だ。東京から佐賀まで往復して5000円台なら安い。以下で比べる、ANAや新幹線、バスよりも全然安い。新737円キャンペーン(セール)の復活が望まれるところではあるが、1000円台のチケットでもまだまだ春秋航空日本のセールはその安さで注目に値すると思う。
なので2018年は定期的な新737円キャンペーン(セール)の開催をお願いしたいところだ。
ちなみに737キャンペーンや、キャンペーン統合後も1737円にするなど、かたくなに“737”という数字にこだわっているのは、同社がボーイング社による最新の内装設計仕様「スカイインテリア」を採用した次世代737型機Boeing737-800型機を使用しているからだ。価格の安さと、最新機材を使用しているということを両方共アピールできると考えてのことだと思われる。
今年の春秋航空のセールを見ていると、春秋航空日本と春秋航空の連動セールが目につく。春節やバレンタインで両社共にセールを行っている。つまり、片方で季節・イベントセールをやったら、もう片方もセールをやる可能性が非常に高いということ。セールをチェックするなら、春秋航空日本だけではなく、春秋航空も見ておくと良いだろう。
また、就航記念セールも外せない。春秋航空日本は8月に、春秋航空は7月にそれぞれ就航記念セールを行っている。これも999円~や1000円台の航空券が販売されるので押さえておきたい。
春秋航空日本のセールが安い安いと書いているが、ほかの交通機関と比べてどれだけ安いのだろう。(片道価格調べ)
まず、新幹線を使うパターン。東京駅から東海道新幹線の「のぞみ」に乗り、博多で九州新幹線「さくら」に乗り換え、さらに新鳥栖でJR長崎本線に乗り換える必要がある。料金は2万3130円、所要時間は約6時間。
では、近年価格競争が激しい長距離バスはどうだろう。実は東京から佐賀へ直行する高速バス、夜行バスは存在しない。あくまでバスにこだわるなら、東京から博多へ行き、そこから佐賀駅バスセンターまでバスというルートになる。最安値で検索すると、東京(バスタ新宿)→博多は8000円で所要約15時間、福岡から佐賀を結ぶ「わかくす号」は1030円、所要1時間16分。合計で約9000円、所要約16時間となる。
一方、春秋航空日本の通常料金の場合はどうだろうか。現在の東京-佐賀の最低料金は6760円、それに空港使用料380円と支払手数料550円が加わり、7690円となる。所要時間は2時間30分だ。飛行機の場合、搭乗の2時間前には空港に着いていなければいけなくて、佐賀空港から佐賀駅まで少し遠いということも加味すると、東京から出発する場合の所要時間は飛行時間の2時間30分に東京-成田の移動時間、チェックイン手続き時間、佐賀空港-佐賀駅の移動時間をプラスして最短約6時間といったところだろうか。
春秋航空日本の料金・所要時間をまとめると、セールで飛行機737円~、通常価格7690円、飛行時間東京→佐賀2時間15分(佐賀→東京は1時間45分)となる。
また、東京(羽田)-佐賀を1日5便運行しているANAはどうだろう。正規運賃4万1390円~、早期購入割引の旅割1万190円という価格だ。飛行時間は、羽田なので成田の春秋航空日本よりも少し短く東京→佐賀2時間(佐賀→東京1時間35分)となっている。
セールがなくても価格では春秋航空日本が圧倒的に優位で、所要時間は、東京駅を起点にすると佐賀駅までは飛行機と新幹線が拮抗するという感じだ。ただ、これは2時間前に空港についていることを前提にしているので、飛行機の方は少し時間を短縮することが可能だ。
春秋航空日本は、まだまだ日本国内での路線も少ないし、運行停止してしまっている路線もあり、日本国内での知名度は低いと思われる。しかし、737キャンペーンなどで知名度アップを図り、実際に佐賀に旅行したときには、佐賀の地元の人には春秋航空日本の認知度は高かった。東京直行のLCCがない県や観光地には、需要があることが想像できる地元での人気ぶりだったので、これからも日本の空を安く飛ぶ手段の一つとして頑張って欲しい。