函館の市場と言うと「函館朝市」が全国的に有名だと思います。確かに函館朝市は店舗数が250店舗と多く、イカ釣り体験ができたり、美味しい海鮮丼やいくら丼が食べられたり、毛ガニや昆布、鮭などの海産物を買えたりと、海の幸が勢揃いしていて魅力的です。
ただし、観光客向きにすこーしお値段がお高めという話もあります。実際は函館朝市以外の市場である「自由市場」「中島廉売」の方が安いのではないかと。
そこで3つの市場を隅々まで歩き倒して価格調査してみました。比較対象にしたのは、海産物の毛ガニ、そして野菜のアスパラ、お土産や駅弁にもピッタリのいかめしなどです。
※比較調査を行なったのは2018年4月末です。時期によって品揃えや価格は異なります。
目次
函館朝市は、函館駅のすぐそばにあり、食堂、海産物店、カニ・サケ専門店、青果店、お土産店などが揃います。
元々は函館駅のそばで近郊の農家が野菜を立売りしたのが始まりで、その後露店が並ぶ闇市として発展し、さらに多くの店舗が軒を連ねるようになり、今や日本各地、そして函館を訪れる外国人観光客の多くも訪れる一大観光市場です。
特に食堂は、海鮮丼のきくよ食堂や活きイカ踊り丼の一花亭たびじなど、しょっちゅうテレビなどのメディアに登場する有名店が多く揃いかなり充実しています。ランチタイムなんかはけっこう並ぶこともあるかもです。
自由市場は函館市電(路面電車)で函館駅から湯の川方面に乗り、二駅目の新川町からすぐの建物内にお店が密集している市場です。
ここは鮮魚店が28店、塩干店が6店、青果店が3店、飲食店が4店の計約40店舗が営業しています。規模的には函館朝市の約1/6ということになります。
しかし、鮮魚店の品揃えは豊富で、函館のプロの料理人は函館朝市ではなく、こちらに足を運ぶと言われます。また、毎月8日と18日は自由市場の日として特売が行われ、安くお得に品物を買えます。
実際、お客さんは地元の人のほうが多く、観光客はちらほらという感じです。
そして最もローカルなのが中島廉売です。場所は函館駅から函館市電に乗り(湯の川方面)、5駅目の堀川町駅を降りて路地に入った数ブロックがエリアです。
ここは昭和9年(1934年)の函館大火のあとに通り沿いに露店が並ぶようになり、五・十の夜市開催などでも賑わいを見せ、店舗も構えられるようになったという歴史があります。
加盟店は、飲食店、電気屋、青果店、美容院、薬局、八百屋、鮮魚店、海産物店、肉屋、日用雑貨店、パン屋など約40店舗が揃います。かなり生活に根付いたラインナップといった印象で、観光客はほとんど見かけませんでした。
3つの市場を回ってみて感じたのは、全部の市場で共通して扱っているものが少ないってことです。函館朝市はまんべんなく、自由市場は魚屋さんの鮮魚が中心、中島廉売は生活雑貨などもあり、って感じでした。
北海道沿岸で漁獲されるほっけは定番のお魚だけあって3市場で取扱がありました。自由市場と中島廉売では、生っぽい感じのが500円、そして函館朝市ではしまほっけとか根ほっけとかブランドっぽくして高かったです。だいあい850円~なので1.7倍も高い値付けでした。
冷たい海で育つホタテも北海道ならではです。
函館朝市では1枚480~600円、3枚で1080円というのを見かけました。安いので1枚360円ですね。それが自由市場では4枚1200円(1枚300円)となり、中島廉売では3枚550円(1枚180円)とめちゃくちゃ安かったです。
生のヤリイカは函館朝市ではイカ釣りで提供していました。イカ釣りは1回600円でした(時期やイカの種類によって異なる)。これはイカを釣るというアトラクション要素と、釣った後でその場でさばいてくれて食べられるというグルメ要素が加わるので純粋な価格比較するのは難しいですね。
調理用の生のイカは自由市場では4杯700円~(1杯175円~)、中島廉売では6杯500円~(1杯83円~)でまたも中島廉売が最安値でした。
なお、函館のヤリイカの季節はだいたい2~4月。それ以外の季節はスルメイカになります。
毛ガニはボイル(浜ゆで)と活毛ガニがありました。ボイル毛ガニでは函館朝市のマルジュウフーズで1000~3000円という記録。珍しく函館朝市が最安値を記録しました。そのほかのお店では2800円とか3800円という値段で、自由市場はボイル2000~4500円、浜ゆで3500~5000円、中島廉売は浜ゆでが2000~2500円でした。
また、活毛ガニという売り方は函館朝市だけでみたのですが、価格が4000円~9500円とかなりお高い感じ。新鮮な方が良いとは思うのですが、ボイルは茹でるだけで料理が難しいわけではないですから、ボイルよりも3倍ぐらい高くなるのはどーも「ぼっている」と言われても仕方がないかなと思ってしまいます。
塩まみれの鮭が丸々1本で店頭にならんでいるのは市場ならではの迫力感じます。紅鮭は中島廉売では見かけず、函館朝市5200~7900円、自由市場5000~10500円という価格帯。純粋に大きさで価格を決めているように見え、値段に差はなさそうでした。
漁獲高が多くなく、高価なエビのボタンエビ。プリッとしていて、甘さも強い美味しいエビです。函館朝市では1尾200円~500円、自由市場では1尾140円で圧倒的に自由市場が安かったです。ただ、函館朝市では水の中でまだ行きている活ボタンエビが1尾200円で売っていました。売っていたのは函館朝市の中の大型施設「駅二市場」の中の魚屋さんでした。近くのテーブルですぐに食べることもできそうで、その点は自由市場よりも魅力的でした。
いかの頭の中に米を詰めて炊き上げるいかめしは、北海道渡島地方(旧地方区分・渡島国(おしまのくに、現在の道南、函館市や北斗市、松前町など)の郷土料理です。
売っているのはパック詰めされたいかめし。一番オーソドックスな2個入は函館朝市・自由市場の両方で400円でした。
函館周辺でしか採れないがごめ昆布は、表面の凸凹が特徴でとろみと豊富な栄養素を含んでいます。
函館朝市ではタレ付き500円、自由市場では刻み600円というがごめ昆布を見かけました。函館朝市のほうが安いですね。
市場には八百屋・青果店もあるので野菜も価格比較できます。函館朝市では1束450~500円、自由市場では1束550円でした。これも函館朝市のほうがお得です。
なかなか3市場全部で価格比較ができず、2つの市場で比較という商品もありました。そこで、函館朝市で品揃えが豊富な商品について、函館市場だけでの価格比較をしてみようと思います。
いくらは多くの魚屋・海産物店で見かけました、かなり取り扱いやすい商品なのでしょうか。醤油漬けにして保存もききそうですしね。
安いものだと瓶で1000円~です。瓶のサイズはスーパーでよく見かけるなめたけとかと同じぐらいですね。グラムを表記していた店だと150g2200円、180g2800円、250g2200円、250g3800円、300g4860円、350g5400円、500g8100円となり
グラムあたりの価格は、約14.6円でした。100g2000円とかあったら市場価格を逸脱してますね、製法とかにこだわりがあって高くなっているう可能性もありますが、ぼったくりを警戒したほうが良さそうです。
卵巣の形のまま塩漬や醤油漬にしたのが筋子です。いくらは筋子の卵巣膜を取り除いて主に醤油漬けにするなどの手間がかかっているので、基本筋子はいくらよりも安く買えます。
価格は甘口筋子100g850円、醤油筋子300g2485円、300g3240円、500g5940円でした。グラムあたりの価格は約9.9円でいくらの約3分の2ですね。筋子を買うときの目安にしてください。
いくらと並んで販売されていることが多いのがウニです。新鮮なうには甘さに優れ、溶けて身崩れするのを防ぐミョウバンの薬臭さや渋み、生臭さがなく、非常に美味しい海産物です。
ミョウバンを使っていないウニは、ウニの殻から身をとってすぐに殺菌された塩水に漬ける「塩水ウニ」として販売されています。
やすいのは瓶に入ったもので1瓶1000円、サイズはいくらの瓶と一緒のことが多いです。ほか、塩水うに100g2800円、一夜漬けうに60g800円で販売しているのを発見しました。グラムあたりが28円、13.3円とけっこう開きありますね。いくらよりも安い設定があるのは意外でした、北海道ならではでしょうか。
あと函館朝市ではその場でウニを食べることもできます。ムラサキウニ1個500円、ウニ1個400円で売っていました。そのへんの商店でビール買ってウニとビール、最高ですね。
品揃えがとにかく多く、市場内での価格差も大きくなりがちな函館朝市、市場から直送の鮮魚などの海産物が安い自由市場、鮮魚店・青果店の数は少ないものの価格がかなり安い中島廉売、というのが3大市場を回っての感想です。
値段で比較すると、安さで評価すると基本的に函館朝市<自由市場<中島廉売です。函館朝市は高いものだと2倍とかするのもあり、それを見ると「ぼったくり」という人がいるのもうなずけます。ただし、市場内での価格差が大きいので、他の市場と同等の価格だったり、函館朝市の値段が一番安いというパターンもありました。
できるなら、3つの市場をまわって価格調査してから買うのが一番ですが、どこか一つしか行く時間がない、という場合は、函館朝市内でいろいろ見て価格調査して市場内で一番安いお店で買えれば、大きく損をするということは避けられると思います。