片道737円のセールを定期的に行い、旅行好きから注目を集めていた春秋航空日本。しかし、そのセールは2017年3月分で終了し、4月5月は本国・中国で運行している春秋航空のセールと合体、新737キャンペーンとして開催されていた。
その後、6月からは春秋航空日本、春秋航空ともにこの格安セールのお知らせは全く届かなくなってしまった。
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そして、7月以降の春秋航空日本にはネガティブなニュースが多い
まず、7月1日から1区間あたりの支払手数料が430円から550円に値上げされている。往復だとプラス120円の値上げだ。
8月30日には、「成田-関西線」の運休を発表。訪日中国人観光客の日本国内での移動需要が伸びていないための対応となった。
「成田-佐賀線」についても1日2便から1日1便への減便。しかし、これは低需要だけが要因ではなく、九州佐賀国際空港(佐賀空港)の施設・キャパシティ的な問題も大きい。元佐賀県知事の古川康氏がブログで説明していたが、佐賀空港は手荷物検査場の体制や搭乗待合室のスペースなどが狭く、同時間帯のダイヤでは同時に1便しか処理できないため、春秋航空日本は断られてしまったのだ。料金の高いANAが残り、格安の春秋航空日本は弾かれる。消費者にとってはマイナスなことである。
さらに、11月30日には、所属するパイロットの約20%にあたる10人に乗務停止処分が下された。理由は「5月に佐賀空港で、成田行きの便のフラップが適切な角度になっていないのに離陸しようとした」「10月に成田→札幌の便で飛行計画書に記載された巡航高度が誤っていることに気付かずに離陸した」などのトラブルがあったため。おいおい、5月の佐賀空港って俺も乗っているよ、怖い。
処分の対象者は機長4人、副操縦士6人。全員再訓練を受けて、うち7人は乗務に復帰しているという。飛行機はほんの小さなミスが重大事故に繋がるので、ここはしっかりやってほしいところだ。
そして12月1日には事業拡大と安全品質向上のためとして、JALに整備業務の全面委託が発表されている。
それに加え、11月23日~27日まで、空港周辺天気の悪化・降雪を理由とした「成田-新千歳便」の欠航が発生しているが、他社の便は飛んでいるという事態が発生。その後、“降雪時の作業手順見直しのため”として欠航期間は延長されている。また、12月7日は「成田-広島便」、12月4日~6日は「成田-佐賀便」が運休。
これに対し、ユーザーからは「資金繰りの悪化?」「機材繰りで苦労している?」「パイロットを引き抜かれた?」などの声があがっている。
また、ちょうど1ヶ月前となっているが、佐賀線、広島戦、札幌(新千歳)線ともに2018年1月16日以降のチケットが取れないという状態になっている。(中国への国際線は1月16日以降も予約できる)
不安定な運航状況、そして運航が確定していないという現状は、春秋航空日本という会社がなにかしらの岐路に立っていることを示唆する。
航空会社の破産と言えば、2017年はイギリスのLCC「モナーク航空」が破綻して旅客11万人が帰国足止め状態になったり、ドイツのLCC「エア・ベルリン」は破産しルフトハンザ航空の支援でなんとか運航を継続するという状態。
また、イタリアのフラッグシップキャリア「アリタリア航空」はここ10年で2度目となる破産申告を行っている。一応運航は続けられ、運航しながら資産を売却したり、人員整理してコストカットしたりするという不安定な運営状態になっている。
2016年にも、台湾の「トランスアジア航空(復興航空)」が解散している。
飛行機のチケットを予約して旅立つ日をウキウキで待っていたら、ある日突然「倒産するのでチケットは無効です、すいません」と言われる可能性があるということだ。
それならまだ良いケースかもで、旅先でそうなった場合、帰りのチケットは紙くずで代替チケットの手配は自分でしなければならず、高額な出費に繋がる可能性もある。
思えば、年頭は景気良くセールを打っていたが、収益悪化によりセールを打つ余裕がなくなり、そして色々な問題が噴出、というのが2017年の春秋航空日本のイメージ。それでも散発的に開催されるセールでは、国内線1737円~という価格設定でまだまだ安いし、中国国際線セールでの999円~はかなりの価格的な破壊力がある。
「重慶」に行って激辛料理を食べてみたいし、「天津」で甘栗も食べたい。「広島」に行ってカープの試合を見たり、宮島行ったりもしたい。
乗ってみて機材や人材的にもまったく不満は感じ無かったし、今は苦境かもしれないが、まだまだ頑張って欲しい航空会社だ。破産だの破綻だのとネガティブなニュースを書き連ねてしまったが、ぜひ今後も事業が継続されることを望む。