電車旅の魅力は沿線の車窓、乗る電車そのもの、利用している人々の人間模様など、様々な楽しみ方がありますが、駅弁を買って、それを車内で食べるというのも最高のお楽しみの一つです。
函館駅にはいかめしにも負けない美味しい「鰊みがき弁当」とい人気ナンバー1の名物弁当があります。函館から札幌に行ったり、新幹線の駅の新函館北斗に行く時に買う人が多いと思います。
私は、トラピスト修道院に行くために、道南いさりび鉄道に乗って渡島当別駅(おしまとうべつ)まで行く時に「鰊みがき弁当」を買って、実際に食べたので、感想なんかを書いていきたいと思います。
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函館駅には北海道キヨスクが運営する商業エリアがあり、そこには北海道土産などを扱う店や、地元函館の名店などが出店しています。その中に駅弁の専門店は2店舗ありますが、一番人気の駅弁は1936年(昭和11年)創業の老舗「駅弁の函館みかど」(営業時間6:00~20:00)で買うことができます。
「駅弁の函館みかど」は改札を正面に見た場合、左手にあります。電車までの時間がない場合でも駆け込みで買うことができる、素晴らしい配置だと思います。
お店の方に聞いたら、やはりランキング人気は「鰊みがき弁当」とのことでした(ちなみに2位はかにめし1000円)。
鰊は函館朝市や自由市場で丸干しや身欠きにしん、数の子鰊、甘露煮などとして売られていて、かつて鰊御殿が建てられるほど北海道でたくさん捕れただけあるなと感心しました。
たくさん捕れれば飽きないために色々な調理法が考案され、様々な料理が淘汰されるのは自然なことで、昭和41年に発売開始された「鰊みがき弁当」は変わらぬ製法で人気ナンバー1の座を守っています。
鰊とレトロな書体で書かれたパッケージを開けると、長方形の弁当にごはんが敷き詰められ、その上に3切れの身欠きにしん、同じく3切れの数の子、その下に茎わかめ醤油漬がのっています(数の子は大きな2切れの写真をみたこともあるので、大きさによって入る切れ端の数は変わる模様です)。あとはたくあんが2切れ、これが全てです。幕の内などと比べるとシンプルな具材構成と言えます。
身欠きにしんとは、にしんを3週間ほどかけて天日干し(素干し)したものです。身欠きにしんは食べる時に米のとぎ汁などで戻すのですが、戻してほろほろになったニシンの身は、筋(節)ごとにぽろっと取れてしまうことから、身が欠ける=身欠き、となったようです。また、もう一つの説として、ニシン粕(肥料)はお腹で作り、お肉として食べる天日干しは背中側を使っていたので、お腹の部分が欠けた=身欠き、になったという説もあるようです。
身欠きって、なんか端っことか、余った部分とか、ネガティブなイメージでしたが、全然マイナスな意味じゃなかったんですね。
さて、お弁当の身欠きにしんですが、甘じょっぱい味付けでじっくりと煮込んだ後に、一晩寝かせています。にしんは骨が多めですが骨まで軟らかいほろりとした食感です。公式では甘じょっぱいとうたっていますが、自分はあまり甘さは感じませんでした、ほんのり上品に味が深まる程度に甘さがあるって感じです。これがまたご飯に合って最高なんです。
あとは、数の子。こちらもほんのり塩味でプチプチの食感が良いです。ご飯のお供というより、味は薄めですがお酒のツマミとして最適です。
コリコリ食感の茎わかめ醤油漬も風味が良いので、数の子と茎わかめでビール2本ぐらいいけそうです。
2017年までは880円だったのですが、2018年には980円と100円も値上げしました。
ちょっと高く感じるかもですが、「駅弁の函館みかど」の中では一番安い弁当になります。
道南いさりび鉄道に乗ったとき、天候は雨模様で最悪でした。
それでも、「鰊みがき弁当」が期待を上回る美味しさで、夢中で食べていたので電車の旅は幸せな道中でした。
北海道の駅弁と言えば「いかめし」という人も多いですが、両方共食べてみて、どちらも良いところがあり、甲乙つけがたいって感想です。
函館駅では「いかめし」も買うことができるので、両方買って食べ比べするのもいいかもしれません。