エコノミークラスの新しいベッド形態「カウチシート」「スリーパーシート」が相次いで登場

飛行機の座席は一般的にファーストクラス、ビジネスクラス、エコノミークラスの順にクラス分けされています。

ファーストクラスは豪華にパーティションがあり、個室空間でフルフラットのシートでゆったり寝ることができます。

また、ビジネスクラスでも区切りが大きく個室感が高く、飛行機の種類、航空会社、路線によってはフルフラットも登場しています。

一方、庶民が乗るエコノミークラスは、狭い座席、足を全く伸ばせないほど狭い前の座席とのシートピッチ(間隔)、わずかな角度のリクライニングと、価格差によって大きな格差をもうけられています。

しかし、そんなエコノミークラスでも足を伸ばして寝ることができる新シートが相次いで登場しています。

目次

ANAの超大型旅客機エアバスA380に導入される「ANA COUCHii(ANAカウチ)」

レッグレストを上げてベッドにするカウチシート

全日空(ANA)は、日本の航空会社で初となるカウチシート「ANA COUCHii」を2019年5月24日から成田~ホノルル線で導入します。

2019年5月就航のA380型機/FLYING HONU(フライングホヌ)

カウチシートとは、3席、または4席並んだエコノミーシートのアームレスト(ひじかけ)は全て上に上げ、さらに足元のレッグレスト(足置き)を上げることで前方の席との隙間を埋め、ベッドになるスペースを生み出します。

そこに専用の寝具を敷き、専用シートベルトを締めて飛行機に寝ながら乗ることができます。

後ろから見たイメージ

追加料金は4名4席利用時はプラス1万2000円、3名利用時は3席9000円/4席22000円、2名利用時は3席19000円/4席52000円~、1名利用時は3席59000円~/4席92000円~となっています。

家族連れでは子供を横にして寝かせることができたり、カップルでは女性をベッドで寝かせてあげたり、少し狭いけど二人で密着して寝たり、一人の場合は贅沢に3or4席を独占して寝ることができます。

子供のいる家族での使用イメージ
カップルでの使用イメージはちょっと不自然な感じ笑
一人利用はかなり贅沢。ビジネス行けと周りから突っ込まれそう

利用可能な路線はエアバスA380型機材が運航する成田=ホノルル線のみ。この路線ではエコノミークラスよりビジネスクラスは約10万円、ファーストクラスは60万円以上高い価格設定なので、カウチの料金のほうが安く抑えられます。※ハイシーズン料金は最大でプラス料金25万2000円なので、ビジネスクラスにしたほうが安い可能性もあります。

配置は、エコノミークラス1階の最後部座席になります。

ニュージーランド航空はボーイングの中型機B777・787で「SkyCouch(スカイカウチ)」

イメージ

ニュージーランドを代表するフラッグキャリア、ニュージーランド航空は、日本(成田、羽田、関西)からニュージーランドまで唯一の直行便を運行する航空会社です。

同社のエコノミー利用ベッドは「スカイカウチ」という名称ですでにサービスが開始されています。

こちらは3席限定の仕様で、セッティングはANAのエアバスA380と同じでアームレストとレッグレストの両方を上げて、ベッドにします。

プロモーションビデオでは国鳥キウィのキャラクター「ピート」が寝ていました

ANAカウチと異なる点は、窓側のアームレストも垂直に上げられる点。これにより、
窓側を椅子の背もたれとして使い、くつろぎ方に幅が出ます。

読書をしたり、ただただ寝たり。見せ方が上手いのか、ANAカウチよりも広く見えます

ベッドサイズは155×74cm。縦は大人だと足を曲げないと横にはなれないサイズですが、少し横幅に余裕があるので、結構余裕で寝れそうです。

配置はANAカウチと異なりエコノミー客室内の前方となります。

気になるベッドにして寝る時のシートベルトですが、前方座席と自分の座席を結ぶ形で、通常のシートベルトとは90度違う形で締めるんですね。親子二人で寝る時なんかは、長いシートベルト1本で二人を締めるというやり方です。イメージカット見てると、全然体固定されていないような… エアポケットとかで怪我とか出そうで怖いです。

二人を1本のシートベルトというのは大丈夫なのか

なお、子ども用には幼児専用ハーネス、ベルト、ポッド(ベビーベッド)が用意されています。

赤ちゃんも安心してぐっすり

スカイカウチへのアップグレード料金は6月平日の便で7万9500円でした。プレミアムエコノミーで7万8000円、ビジネスで18万8500円の差額なので、プレミアムエコノミーと同額で3席使ってのラウンジのような席、ビジネスよりも約11万円安く疑似フルフラットシートが利用できると考えると安いと感じます。

アップグレードイメージ

英トーマス・クック航空の「Sleeper Seat(スリーパーシート)」

Sleeper Seat

ここまで日本便の紹介でしたが、海外のスカイカウチもあります。

イギリスのLCC航空会社Thomas Cook Airlines(トーマス・クック航空)は2013年時点でイギリス6位という日本ではあまり馴染みのない航空会社です。しかし、その年の乗客数は600万人で、これは日本のLCCで1位のジェットスター・ジャパンの2018年6月期決算(2017年7月1日~2018年6月30日)で発表された有償旅客536万人よりも多い規模となっています。

トーマス・クック航空でスリーパーシートが採用されるのは、ニューヨーク線やサンフランシスコ線などの長距離路線。やっぱり、長時間のフライトじゃないと、横になって寝れるというメリットは最大限に発揮されませんね。

スリーパーシートのセッティング方法については、公式ページの説明では詳細がちょっと不明です。ANAやニュージーランド航空のカウチのように、フットレストが上がって前の座席との空間を埋めるパターンではなく、何か板のようなものを3席並びの上に載せてベッドにしているように見えます。

元がLCCのシートなのでフットレストは多分ないです

スリーパーシートには、シーツ、ヘッドレスト、枕、毛布、アメニティキットなどが付くということで、ベッドのような柔らかさは得られるようですが、ちょっと大丈夫かな?という心配が先立ちます。

なお、サービス開始は2019年5月13日から。料金は追加で200ポンド(約2万9200円)です。

まとめ

飛行機はファーストクラスとビジネスクラスで収益を上げている、と言われるほどエコノミークラスの収益率は低くなっています。しかし、お客さんにプラス料金を払って使ってもらうカウチシートは、エコノミークラスの新たな収入の形として注目されています。

長時間のフライトで、心底腰やおしりが痛くなった経験がある人も多いと思います。ビジネスやファーストクラスほどの高額料金を払わないでも、フルフラットシートで寝たり、くつろいだりできるカウチシートは、かなり利用価値の高いシートになっていると思います。

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