有田と伊万里の二大焼き物の里を結ぶ日本最西の鉄道・松浦鉄道(西九州線)乗車記

松浦鉄道は、佐賀県の有田駅を始発として、同じく佐賀県の伊万里駅を通り、そこから北西へと進路をとり、福島口駅を過ぎて長崎県に入り、たびら平戸口駅で鉄路の電車としては日本最西端を記録し、南下して佐世保駅まで至る全長93.8 km・57駅の鉄道です。

※ちなみにモノレールも含めると最西端はゆいレールの愛称で知られる沖縄都市モノレールとなる。

西九州線とありますが、ほかに東九州線とか南九州線があるわけではなく、営業路線は西九州線のみです。

愛称が特に定められているわけではありませんが、Matsuura RailwayからMRやMR鉄道と呼ばれています。

今回(2017年5月)の佐賀の旅では、有田駅から伊万里駅までの、佐賀の焼き物で有名な街を結ぶ11駅に乗車してきました。

松浦鉄道路線図

コメントで電車と気動車を、区別するよう、また譲歩いただき列車と表記するのは如何かとご提案をいただきました。

電車は主にパンタグラフから電気をもらって動くもの、気動車は車体にエンジンを搭載した鉄道車両という認識です。

ただ、全国の一般の方々にとってはどっちも電車です。本稿では一般の観光の方を念頭に記事を書いているので、電車で統一させていただきたいと思います、宜しくお願い致します。

有田駅でJRからの乗り換え

当日は、佐賀から特急みどりに乗ってやってきました。

特急はリクライニングの快適なシートでしたが、初めて乗る松浦鉄道はどのような電車なのか気になる所です。

有田駅は、北側は緑豊かな山間、南側に市街地が広がるという立地。

駅舎は白壁の蔵造りで、歴史ある焼き物の街にふさわしい風格です。

あと、駅のホームに陶器を使ったオブジェがあるのも有田っぽくて良いです。

歴史ある街にふさわしい重厚な造りの有田駅

改札はシンプル。自動改札はなし、切符はポストに入れる方式、駅員さんに渡してもいいと思うけど

さて、特急みどりは1番線に到着ですが、松浦鉄道は3番線にあります。

跨線橋を渡って、2・3番ホームがある島式ホームへと移動です。

1番線から2・3番線ホームへ。エスカレーターはないがエレベーターは奥にある

3番線には特急に接続の松浦鉄道が停車してました。

MR-608

12時14分発の伊万里行きです。というか、伊万里から佐世保までの直通運転はなくて、有田発の伊万里方面行きは全て伊万里行きで伊万里止まりになるようです。

電車は6時6分が始発で終電は22時10分発。1日26本運行されています。1時間に1~3本あるので、そこまで過疎って感じでもないですね。

乗り込む電車はMR-600形気動車

3番線に停まっていた1両編成の電車は、日本車輌製造のMR-600形気動車です。

こちらにもきっぷ・運賃入れのポストが。ん、運賃入れってことは、料金をこのポストに直接いれることもある?

車体のサイドに愛称である「肥前 WEST LINER」のロゴを掲げ、松浦鉄道のマスコットキャラクター・マックスくんも描かれた、1両1億円で発注した、立派な自前の車両です。

車体側面

マックスくん

車内に入ると、多彩な座席配置が目に入ります。1対1で向かい合って座れる「1人掛け転換クロスシート」、ファミリーや仲間でワイワイするのに良い「4人掛けボックスシート」、そして通勤電車などで見かける「ロングシート」の3種類です。

いろいろな座席があるのが良い

ほかの乗客が少なかったこともあり、私は「1人掛け転換クロスシート」を使わせてもらいました。

また、先頭の上部には路線バスに搭載してある運賃表が掲げられています。

電車でこれを見るのはすごく久しぶりな気がします。最後にいつ見たのか思い出せないぐらい。

運賃表示機

あと、このようなワンマン電車の乗り方になれていない都会からきた乗客のために乗降の仕方の説明書きが掲示されていました。進行方向後ろ側のドアから乗車して、降車の場合は進行方向前方のドアから下りるというルールがあるんですね。

支払いは現金、ICカード・長崎スマートカードに対応します。

なお、SuicaやPasmoなどの交通系ICカードは使えません、使用不可です。

支払い用の運賃箱

また、この有田―伊万里間はわずか約25分の区間なので、電車にはトイレはついていません。

電車は伊万里に向けて日本の原風景を行く

電車は有田駅を出発して1kmほどでJR佐世保線と離れ、伊万里へと向けて山間の田園地帯に入っていきます。

すぐに田園風景に

5月末ではまだ田んぼには水が張られておらず、田園風景は少し寂しい感じ。

それでも単線でまっすぐに伸びる鉄路、そして枕木まで覆うように茂る草と山の緑はのどかな光景として眼の前に広がり、「日本の原風景を旅している」という旅情をかきたててくれます。

真っ直ぐ伸びる2本レールは大好物です

途中、夫婦石駅では電車がすれ違う列車交換が行われました。

この駅、近くの有田川にある大小一対の岩「夫婦石」にちなんで名付けられた駅ですが、この駅で松浦鉄道の電車が毎日必ず出会って、また出発していくというのは、少しロマンチックだと思います。

電車と電車が出会う夫婦石駅

終着駅の伊万里駅に到着

やがて電車は、伊万里駅へと滑り込みます。

車窓は伊万里の街に入ってから少しそれまでとは異なり、「街」の様相です。

高い建物もあるし、住宅もいっぱい見えます。

マンションがあるだけで都会と感じる

電車を下りると、ホームには佐世保行きの電車も停まっていました。

この12時14分有田発の電車は、佐世保行きと乗り換え時間3分で接続するので、佐世保や松浦方面へ行く場合は便利ですね。

ヘッドマーク付きで特別感あり

佐世保行きのMR-605にはヘッドマークが掲げられてあり、「なつめ耳鼻咽喉科号」とありました。

地元の企業がスポンサーとなっているんですね、地方鉄道としては良い収益になるのでしょう。

ちなみにこれは「MR列車命名権」として発売されているもので、法人だと1年1車両25万円、個人だと3ヶ月1車両15万円~で命名権を得ることができます。

そんなに高くないですね。

あと、伊万里駅にはほかにもMR-621というピンクの塗装のかわいい車両もありました。

伊万里駅は、西ビルMR駅となっていて、有田駅と比べてけっこう立派です、観光案内所も入っているので、ここで旅の情報を収集するのも良いですね。

松浦鉄道の伊万里駅。道路を挟んで反対側にはJRの伊万里駅がある

まとめ

以上が松浦鉄道西九州線の乗車記です。

1両編成の電車に乗ってコトコトと田園地帯を行くのはローカル列車感満載でかなり楽しいです。

道中、列車内は多くても5人ぐらいで、電車の音だけが響く静かな旅路でした。

沿線では緑豊かな癒やしの風景を見れますし、雑草に覆われる線路を見ると、ノスタルジーというか退廃的というか、ほろびゆく世界のようで中二心もくすぐられます。

料金も片道460円なので気軽に乗れます。

佐賀を旅する時は、ぜひ乗ってみて下さい。