函館市電の乗り方、車窓、撮り方など、いろいろな角度から北海道初の路面電車を楽しむ

函館市電は1913年に開業し、1918年開業の札幌市電(札幌電気軌道)よりも早く、北海道初の路面電車として運行を開始しています。

路面電車ってそれだけでなんかレトロでいいですよね。路面電車が走っている街って、鉄道黎明期から栄えていて、それで今でも古き良き町並みが残っていて、ガタンゴトンとレールの継ぎ目の音を響かせながら1両とか2両の電車が町並みを走っていく風景が素敵です。

函館市電に乗って行ける場所は、函館のどつく前や元町、函館公園、金森赤レンガ倉庫、函館朝市、函館駅、自由市場、中島廉売、五稜郭(バス乗り換え)、函館競馬場、湯の川温泉があり、函館の主要観光名所をほぼ全て路線でカバーしています。

運営は函館市の「函館市企業局の交通部局」。地方公営企業だからか公式ホームページは函館市公式HPの中にあり、結構見にくいインターフェース(見た目とか構造とか共に)なので、ここでまとめて乗り方、車窓、写真の撮り方なんかを紹介したいと思います。

路線系統はわずか2つ!初めてでも簡単に乗れる路線解説

函館市電の鉄道むすめとして「柏木ゆの」というキャラクターもいます

かつて最大時は12もの系統があった函館市電。しかし市街中心部の人口の減少やマイカーの普及などといった要因により、利用客は減っていきます。函館駅から亀田町まで伸びていた線路も廃止・撤去され、現在は2系統・5系統の2路線だけとなっています。ちなみにかつての1系統は五稜郭駅前まで運行していました。

現在の系統は「2系統 湯の川―谷地頭」「5系統 湯の川―函館どつく前」の2つ。2つの系統の東側の端は湯の川駅で共通しています。同じ線路を走る2つの系統が西へ向かって走るとき、函館駅前を通り、元町駅の手前である十字街で2手に分かれます。2系統は南へと進み、函館公園の前を通ってレトロな商店街や谷地頭温泉がある終点・谷地頭駅まで行きます。

ちなみに駅のことは正式には停留所というようです。たまに公式でも停留場という表記も見られます。

2系統と5系統が並ぶ函館駅前停留所
「まもなく電車がきます」の表示がある湯の川駅。接近メロディーは一部の駅だけだったと思います(うろ覚えですすいません)

5系統は十字街駅から北西へと進み、元町の坂の下の大通りを進み、古い造船会社である函館どつく株式会社がある函館どつく前駅が終点となります。

函館駅から自由市場とか函館競馬場、湯の川温泉に向かうときは2・5系統どっちでも行けます。逆方向に向かう場合は、目的地に応じて乗り分ける必要があります。

停留所について・電車への乗り方

路面電車は大通りの真ん中に線路があるので、乗るときは必ず横断歩道で道路を横断してから停留場に入る必要があります。

横断歩道の真ん中に駅(停留所)があります。たぶんほとんどの横断歩道は信号付きです

停留場は10cmぐらいでしょうか、ちょっとだけ高くなったプラットホームがあります。幅はどの停留所も狭く、人一人分て感じです。小錦さんとかだったら体はみでそうです。(小錦さんて例え古いかもですね、今ならマツコ・デラックスさん? 石塚英彦(石ちゃん)さん?でしょうか)。

あとバスの停留場にあるようなポール型の駅名表示板があったりします(公式では行灯あんどんと書いていました)。形は様々です。そこに時刻表があったりします。

谷地頭の行灯

乗り方は、乗車時は電車の後方ドア「入口」から乗り、ICカードをタッチ、もしくは整理券を取ります。そして降車時は電車の前方、運転席隣の料金箱でICカードをタッチするか現金で支払って「出口」ドアから降ります。

後方ドアから入りすぐ右手にあります
前方の料金箱
現金の人は車内前方上部にある表示で、整理券の番号と照らし合わせて金額を確認してください

乗車位置のマーク

乗るときの電車のドアが停まる場所はホームの地面を見れば分かります。点字ブロックがそこだけ十字になっていたり、ホームに「乗車口」という目印があったりします。ただし、たまに消えかかっていたりするので注意です。

ほんのわずかに白いマークの残骸があるどつく前駅

ちなみに、山手線みたいな電車をイメージしてホームに立っていると電車との異常な近さにびっくりします。ほんと目の前を電車が走るので、最初はかなりビビります。電車はめっちゃ重い車体が動いています、ほんの少し接触しただけでもかなり大きなダメージを受けてしまうので、入線時は線路とは反対側の停留場の壁にピッタリくっつくぐらいでいいと思います。

近い

乗車は交通系ICカード、現金、乗り放題券で

交通系ICカードは2017年3月25日から「ICAS nimoca(イカすニモカ)」がスタートしました。同カードでは函館市電と函館バスに乗れます。ちなみに、公式ページにはICASmimocaとあり、イカスミとニモカをかけてるんだなーなかなかいいネーミングだなーと思ってましたが、単なるnをmにしてしまう誤表記でした。

カードデザイン

あとnimocaって西鉄(福岡)が手がけているサービスで、九州中心に利用できます。なんで九州が函館に?って思いましたが、新たに交通系ICカードを導入する地域へシステムをパッケージとして販売する事業形態で、九州以外では初の導入例なんですね。

ICAS nimocaを購入できる場所・販売店は「函館市電駒場乗車券販売所」「函館バス各営業所」「函館駅前バス案内所」、以下は無記名式のみ「丸井今井 函館店」「函館市電車内」「函館バス車内」。観光客は電車内で運転手さんから購入するのが一番手っ取り早いですね。電車が信号待ちのときとか、停車場で降りるときなんかに購入できます。

また、他社のICカードとの相互利用にも対応していて、JR系→Kitaca、Suica、TOICA、ICOCA、SUGOCA、私鉄・公営各社→PASMO、manaca、PiTaPa、はやかけん、nimocaを持っている人は、そのままタッチで電車に乗れます。

あと、乗り放題の券も用意されているので、その点は別記事でチェックしてください。

乗車料金

料金の計算方式は乗車距離に応じた「対キロ区間制」です。
区分は2km/4km/7km/7km超の4区分で大人料金はそれぞれ210円/230円/240円/250円です。始発から終点まで乗っても250円、観光の人がよく使いそうな函館駅~十字街210円、函館駅~湯の川温泉240という感じです。

乗り換え・乗り継ぎという特殊なシステム

2系統と5系統は十字街で分かれることは紹介しましたが、別系統を乗り換えることもできます。5系統で函館どつく前から十字街まで乗り、そこから谷地頭への2系統に乗り換える時は、現金利用の場合、新たに初乗りの210円を支払う必要はなく、降車時に乗換券を受け取って乗り換え、最終降車地で運賃を支払います。ICカードの場合は自動で料金を計算してくれます。

また、函館市電から函館バスに乗り継ぐ事もできます。乗り継ぎできる駅・停留所は「函館駅前(棒二森屋前)・ガス会社前・五稜郭(市電五稜郭公園前)・深堀町・湯倉神社前(市電湯の川)・花園町・テーオーデパート前(函館税務署入口)・亀田支所前」の8つ。
観光客が多く使いそうなのは五稜郭に行く時に、「函館駅前」から函館市電に乗り、「五稜郭公園前」で降り、道路を渡ってバス停「五稜郭」から函館バスに乗ってバス停「五稜郭タワー前」まで行くようなケースだと思います。

電車の種類

1両編成

函館市電の電車は基本的に1両編成です。電車は全面にペイントされたラッピング車両になっていることが殆どで、「千秋庵総本家」「函館米穀」「函館カールレイモン」などの地元函館の企業、「イオンカード」「野村證券株式会社」「株式会社ジャックス」などの全国的な企業の広告がでっかく掲載されています。

インパクト大なNHKどーもくん号

2両編成(9600形)

また、たまに2両編成の9600番台の電車がやってきます。32編成のうち、2両編成は4つだけなので、わずか12%ですね。

ドアとドアの間の距離を1両編成と同じにするために、1両目が短いデザイン
9600形の車内

函館ハイカラ號

あと、特別な車両の「函館ハイカラ號」もあります。この車両は4月15日~10月31日までの期間限定(2018年運行実績、2019年もほぼ同様のスケジュールだと思います)で運行される特別な車体です。

元々千葉の成田で走っていた客車をササラ式除雪車(竹製ブラシを回転させて除雪する方式。ちなみに札幌市電ではロータリーブルーム式電動除雪車と呼ばれる)に車体改造、それが1992年(平成4年)の函館市制70周年記念事業の一環として、米国ブリル社製の台車をそのまま流用し、車体は当時の図面を基に復元して1993年(平成5年)から観光列車として運行を開始しました。

基本的に期間中の土日祝に運行され、1日に5系統(駒場車庫前-函館どっく前間)を2往復、2系統(駒場車庫前-谷地頭間)を1往復だけ走ります(平成30年の運行実績より、平成31年については現時点で不明)。

料金は特別料金等は発生せず、一般の函館市電と全く同じ料金系統です。独特なのは、他の函館市電がワンマン運転なのに対し、函館ハイカラ號だけが車掌さんがいることです。

真横から見ると運転手さんが丸見え

支払いは、車内を巡回する車掌しゃんに支払い、決済が終わると、旅の記念として函館ハイカラ號デザインの切符の半券がもらえます(ICカード支払いでももらえる)。

ちなみにハイテク仕様として、函館ハイカラ號が現在走っている位置について、ロケーションシステムを使ってスマホで瞬時に把握することができます。写真を撮るために、お気に入りの構図で構えているときなんかに役立ちますね。

乗車についても他の市電と異なり「前方乗車、後方降車」です。車内は板張りの床、窓枠、天井などが木製です。また赤いロングシートもビロードを思わせてクラシック。細部を見てみると、ガラス製カバー付きの白熱電球やドロップ型のプラスチックつり革などにレトロを感じます。

函館市電の車窓・車内

運転席そばから前方を見る

実際に函館市電に乗ると、どんな車窓が広がるのでしょうか。大通りの真ん中を走る市電の車内からは函館の町並みが過ぎ去っていきます。湯の川から乗った場合、湯の川温泉では足湯が見え、函館アリーナはコンサート開催時は車内も混み合います。そして左手には電車がいっぱい停まっている駒場車庫があり、続いての函館競馬場は土日の開催時はやはり少し混みます。

色々なラッピングが一度に見られる駒場車庫

その先は、函館駅前まで普通の町並みと行った感じ。時々テナントが空きなビルとかあったりして、人口が減少する地方都市の悲哀を感じたりもします。函館駅の付近は大きなビルもあり、賑やかな雰囲気です。(ただし駅前の看板の一つだった棒二森屋は閉店し、マンションになるとのこと)

電車が十字街から5系統に入ると、両サイドにレトロな建物や洋館が立ち並び、文明開化の地でもある函館の歴史を感じます。一方2系統はひなびた雰囲気が漂います。

2系統の終点・谷地頭へと進む電車。終点駅はどこも直前まで複線で、駅の直前で単線になります

函館市電の撮り方

市立函館博物館郷土資料館 (旧金森洋物店)の前
市電操車塔(十字街駅すぐそば)というマニアックなスポットと市電

函館市電は乗るだけじゃなくて被写体としても非常に魅力的です。元町でレトロな建物と組み合わせたり、函館山をバックにしてみたり、逆に坂の上から街路樹や函館の海と一緒に撮ってみたり。特に、緑の洋館の相馬株式会社の前、重厚な洋館の函館市地域交流まちづくりセンター前、市立函館博物館郷土資料館前は「函館ハイカラ號」との組み合わせで人気の撮影スポットになっています。

函館山と基坂をバックに
相馬株式会社

私のお気に入りは夕日と函館市電。湯の川温泉駅そばのカーブは沈む夕日が線路を照らして浮かび上がらせ、頭上に張り巡らされた架線のケーブルもオレンジの空にアクセントを加えてくれていいです。

映画のワンシーンのよう

あと、もう一つが元町付近の夜景と函館市電です。これも街灯に照らされた線路が存在感を放って好きです。ほとんど電車というより線路が主役なんですけど、ギラギラ光る線路って艶っぽくていいですよね。

電車が過ぎ去った後に横断歩道から撮影できます
夜は電車がブレて難しい

まとめ

以上が函館市電の乗り方、車窓、撮り方などを堪能する方法です。
路線とか詳しい乗り方とか電車の種類とか、けっこうマニアックなところまで紹介できたと思います。
単なる移動手段ではなく、それ自体が観光資源になっている函館市電。1日乗車券とか乗り換え・乗り継ぎとかお得に乗りつつ、レトロな路面電車を丸ごと堪能してください。