伊万里の街歩き、城跡や神社、廃墟など渋い見どころが満載

伊万里という町は伊万里湾の奥に位置し、かつて有田焼などの陶磁器の積出港として栄えた街です。しかし、有田焼きの運搬ルートが伊万里港から有田駅に移ると、一転して町はさびれていきます。

それでも町はかつて栄えた頃の面影を僅かに残しつつ、城跡や神社、廃墟など、街歩きで色々と巡るには格好のスポットが残っています。

水軍松浦党・伊万里氏の居城だった伊万里城

伊万里城の歴史

伊万里城は、鎌倉時代(1185~1333年)の初期に、伊万里氏の祖・峯上が初代城主となって建てられたとされる、平山城です。現在の立地は、伊万里市街を望む小高い丘の上にありますが、かつてここは伊万里湾を望む岬だった場所で、海や伊万里川を堀にした天然の要害となっていました。

伊万里氏が城主だったから伊万里城、そして町名の由来もこの伊万里氏からきているんですね。

なお、伊万里市は14世紀前半には広い領地を持つ松浦党の有力家でしたが、1576年(天正4年)に佐賀の戦国大名・龍造寺隆信に攻め滅ぼされています。

登城ルート

お城へと登城するには、伊万里川にかかる橋を渡り、伊萬里神社の鳥居を右手にみながらゆるゆると坂を上り、伊万里保育園を通り過ぎた角を曲がると上り坂の入口となります。

車は進入禁止

今の城跡は城山公園となっていて、高さ約42m、南北約270m、東西約130mのこぶりなサイズの城跡です。

道は山の外周に沿ってぐるーんと180度登るようなかっこうで、ちょうどカーブが180度ぐらいになったところで、伊万里駅方面の市街地を眺める絶景スポットになります。

正面には地元で伊万里富士と呼ばれる腰岳、右下には延命橋

ここまでは、あまり史跡って感じがしないのですが、城跡の解説をする案内板や、今にも首が落ちそうなお地蔵様が現れて、少しだけ城感がアップします。

お墓の上にお地蔵さんが乗っているのか

いよいよ本丸へ

入口からわずか約5分で本丸があった場所に到着です。天守があったかどうかなどについては、解説板で触れられてなかったので、どのような天守があったかは判明していないようです。

城山公園と公園を名乗るだけあり、すべり台やブランコなどの遊具がありますが、あまり人が使っている形跡のない公園でした。

わざわざ坂を上って遊びに来る子供はいないのか

伊万里城落城の戦死者供養碑やお地蔵さんがいっぱい

また、本丸エリアには、伊万里城落城による戦死者を供養するための「鶴亀城由縁之霊」石碑やたくさんのお地蔵さんが残るだけで、伊万里氏の栄華を伝えるものはありませんでした。

お地蔵さんだらけ

衆議院議長や佐賀県会議長などを努めた政治家・川原茂輔像もある(左はしっこ)

⬛伊万里城の住所

佐賀県伊万里市松島町

お城の東麓にある伊万里氏の守護寺「円通寺」

伊万里城の本丸からは、登ってきた道ではなく、脇にそれる細い道を下っていくと、九州四大名刹の一つ、円通寺の裏側にでます。

そこには、やはりたくさんのお地蔵さんがあり、また、昭和34年に伊万里市で発見された坂口古墳(西暦500年ぐらい)の石棺を移築復元したものがあります。

石棺はすごく地味

苔むしたお墓の中を進むと青々とした竹林が現れ、竹垣と石垣の間を通って、円通寺の境内へと出られます。

静謐な空間

境内には本堂・坐禅堂・開山堂などがあり、美しく敷き詰められた砂や築山にちょっと背筋が伸びる思いです。

本堂?あまり見ないスタイルでかっこいい。万明山円通寺は、実は全国に4箇所しかない南禅寺派の専門道場でもある

⬛円通寺の住所(GoogleMapには圓通禪寺とも表記されている)

佐賀県伊万里市松島町148

竜宮城のような楼門が印象的な「伊萬里神社」

伊萬里神社の歴史

伊萬里神社の前身である香橘神社(こうきつじんじゃ)は、垂仁天皇(29年~70年)の時代に中国に行った田道間守(たじまもり)が、中国から持ち帰った橘を植えたことから生まれた神社です。

創祀は72年(景行天皇2年)、御祭神は31代敏達天皇皇子難波王です。

香橘神社は後に岩栗神社(いわくりじんじゃ)と戸渡嶋神社(ととしまじんじゃ)と合祀され、1962年(昭和37年)に伊萬里神社になります。

伊万里城の方から行くと、伊萬里神社の鳥居をくぐり、その次に旧岩栗神社の鳥居をくぐります。

鳥居

そして旧岩栗神社の鳥居の先には楼門があります。

竜宮城チックな楼門

また、楼門の裏には、縁を結ぶ、実を結ぶご利益がある「むすびの大楠」(樹齢250年の上楠と樹齢350年の下楠からなる)もあります。

立派な楠は広角レンズじゃないとカメラの画角に収まりきらない

そこから、山の上に登ると本殿があります。(旧戸渡嶋神社の鳥居は東側にある)。

本殿

本殿の中には鉄の円盤のようなものが祀られていました。昔の照魔鏡かなんかでしょうか。

本殿内観

⬛伊萬里神社の住所

佐賀県伊万里市立花町83

海の神様を祀った「淀姫神社」

生きたカブトガニが見られるカブトガニの館から道をはさんだ丘にあるのが「淀姫神社」です。

ここは、神功皇后(170年成務天皇40年~269年成務天皇69年)の三韓征伐(新羅征伐)の際に伊万里の地に寄港し、海上安全を祈念して勧請されたというふるーい神社です。

香橘神社の西暦72年創祀といいい、ここも2~3世紀の勧請で、伊万里にはなにげに古い神社が多いですね。

神社入り口

ここの御祭神は海の神様の與止日女神(よどひめ)、漢字が簡略化?されて淀姫神社になっています。

歴史は有るが、本殿は超小さく、本殿を通った先の小さな野ざらしの祠に與止日女神(神功皇后の妹か女神の豊玉姫とされる)と思われる像が収められています。

古代っぽさがある祠

珍しいなと思ったのは、本殿の屋根に鯱(しゃちほこ)があること。神社に鯱って今まで見た記憶がない。

小さいが誇らしげな鯱

⬛淀姫神社の住所

佐賀県伊万里市木須町

伊万里廃墟コレクション

伊万里市は15年前と比べると人口を4千人以上減らしていて(59811→55667)、地方都市ならではの人口流出にあえいでいる。

伊万里を街歩きしていると、その影響ははっきりと見え、ところどころで廃墟を見かける。その廃墟っぷりがわりと物悲しさを醸しているので、少し写真を集めてみた。

窓割れ1

窓割れ2

2015年ぐらいまでは営業していたが、廃業してしまったビジネスホテルかねこ

 

伊万里はかつて栄えた土地なので、新しいものより昔からあるスポットのほうが見ていて楽しい。緑は多いし、そんなに坂も多くないし、車も多くないから歩こうと思えば駅から淀姫神社まで45分かけてのんびり歩いたって良い。

そうやって歩けば、ここで紹介したスポットよりもっと面白い所も見つかるかもしれないです。

「伊万里は歩くに限る」、そう思った伊万里歩きでした。