そこは棚田好きには天国だった、東松浦半島で「大浦」「浜野浦」「駄竹」などの棚田を巡る

九州の北西部の海岸線ってわりとごちゃごちゃしているんですよね。

福岡には玄界灘に突き出す糸島半島、長崎には五島灘や天草灘に面する長崎半島(野母半島)や西彼杵半島、北松浦半島があり、その間には東松浦半島があります。

東松浦半島では玄海原発や呼子のイカなどが有名ですが、それ以上と言って良いマイナーですが最高のスポット棚田が溢れています。

特に玄海町と唐津市肥前町の棚田は素晴らしいので、車でぐるっと回った来た時の写真を中心にご紹介します。

北九州半島マップ

※棚田情報 一般的に傾斜勾配1/20(20m以上で1m上がる)以上の斜面に階段状に作られた水田のこと。地域によっては千枚田、段々畑などとも呼びます。

海に向かってぽっかりひらけてフォトジェニックな「浜野浦の棚田」

玄海原発から車で10分程の国道204号線沿いにあるのが玄海町の浜野浦の棚田です。

浜野浦の棚田

ここは、道路から海に向かって下る傾斜地に作田され、高台からの眺めは視界いっぱいに棚田と海という絶景です。わりと狭隘な谷に作られているので、右から下る棚田と左のこんもりとした森、そして前方の海という構図がバランス良く絶景を作り出しています。

傾斜がきついので、ここは特に「段々畑」という呼び方が合う棚田でもあると思います。

展望台

地元でもその絶景を意識していて、展望台としてウッドデッキを作ったり、幸せの鐘こと「エターナルロック」という小さな鐘を設置して恋人カップルを誘い込んだりもしています。今時、「棚田見に行こーぜ」って誘う男や「棚田キレー」って感動してくれる女の子は少ないとは思いますが、絶景には違いないので、そーゆー誘致はありだと思います。

「エターナルロック」

あと、展望台の側には駐車場とトイレも完備されているのもポイントが高いところです。

歴史的には、戦国時代から江戸時代にかけて作られたもので、面積は11.5ヘクタール、平均勾配1/7、枚数283枚です。農林省主催の「日本の棚田百選」にも選ばれています。

時期によっては海の向こうに夕陽が落ちることがあり、その情景は古き良き日本を思わせる美景です。

玄海町ホームページより

浜野浦の棚田での夕陽撮影のベストシーズンは?

浜野浦で棚田と夕陽を一緒に撮影するベストシーズンは、唐津観光協会玄海支所に伺ったところゴールデンウィークだそうです。

田んぼを耕し始めるのは、4月最初の日曜からスタートし、水がはられるのは中旬から下旬にかけてです。水がはられた田は撮影時に水鏡となり、美しく夕陽を反射し、棚田のシルエットをはっきりと映し出します。

そしてGWには、夕日が落ちる場所もうまいこと海の真ん中になるので、棚田の水鏡と夕陽という最高の条件が揃うのです。なんとGW期間中にはのべ4000人ものカメラマンが浜野浦の棚田に集結するとのこと。駐車場もそこまで多くないので、早くから場所取りしている人も多いといいます。

なお、冬などは夕陽が海に落ちずに、夕陽の撮影を楽しみに訪れてもがっかりしてしまう人がいるとのこと、行く予定があるなら、ライブカメラで現場の状況をチェックしてから行ったほうが良いでしょう。

弘法大師も表現を諦めた絶景を背にする「大浦の棚田」

ここから以下は全て唐津市肥前町の棚田になります。まずは、「大浦の棚田」から。

ここは、佐賀に旅行に行こうと思ったきっかけの棚田です。

かつて弘法大使がこの地を訪れた際、48の島が浮かぶ「いろは島」の光景を見て、あまりの美しさに筆を投げたと伝えられます。

その「いろは島」の景色を背景に、ワイドに広がる棚田が「大浦の棚田」なのです。こちらは国道204号から大浦の集落へと続く道を下っていくと、目の前に絶景が「ドン!」と広がるので非常にインパクトがあります。

高台から広く見渡せる

海に向かって、なだらかにおりていく広々とした棚田。そして、目線の先にはいくつもの島や半島が織りなすリズム感があって飽きのこない「いろは島」の絶景、その緑と青の組み合わせは最高です。

奥行きのある景色

棚田の見学にはいろいろマナーがありますが、農作業の邪魔をしないようにして、田の畦(あぜ)道を踏まないという形なら、歩いて色々見ても良いと思います。私は展望台に車を停めて、徒歩で棚田の周囲をぐるっと回る形で歩いてみました。

森の影が棚田に落ちる

複雑に入り組んで迷路のよう

神社や寺は見当たらないのに鳥居だけが残る

田んぼの端の花と棚田

田んぼの中に電柱が立っている

なお、この棚田から西を見ると山の方になってしまうので、棚田と夕陽という風景はここではあまり良い構図にはならなそうです。

風車が立つ山の向こうに夕陽は落ちる

ここは鎌倉時代から江戸時代にかけて築かれたもので、広さは30ヘクタールもあり、枚数は昭和35頃は1200枚を越えていました。今では、後継者不足や高齢化等により年々減少していますが(最近の枚数は1096枚という情報あり)、それでも規模は圧倒的です。

もちろん「日本棚田百選」に選ばれています。

展望スペースもありますが、こちらは数台分の駐車スペースと観光マップが掲示されているだけです。はっきり言って「浜野浦の棚田」よりもこちらのほうが規模が大きく景色も良いのだから設備も整えて欲しいところですが、あちらは玄海原発の豊富な税金を投入できるという背景があるだけに、棚田というマイナーな観光資源に対して、唐津市に大きな要求をするのは酷かもしれません。

観光マップが掲示された看板

ただ、この観光マップが棚田好きにとっては有能すぎました。

マップの玄海町と肥前町部分のアップ

事前のネットの調べでは「大浦の棚田」「浜野浦の棚田」ばかりがヒットしますが、このマップには、肥前町エリアの「納所の棚田」「駄竹の棚田」「犬頭の棚田」「上ヶ倉の棚田」「瓜ヶ坂の棚田」も載っていたのです。

また、それ以外にも調べてみたら「入野の棚田」「殿木場の棚田」「中浦の棚田」があり、このエリアはまさに棚田の宝庫です。

最初は「大浦の棚田」を見た後は、長崎県福島にある「土谷棚田」に行くつもりでしたが、せっかく東松浦半島に棚田がまとまっているなら、肥前町で棚田を回ることを決めました。

白糸の滝の南に広がる「上ケ倉の棚田」

上ケ倉の棚田」は肥前町上ケ倉にある棚田です。

一箇所に広く棚田が広がるというより、丘陵地の色々な傾斜地に棚田が点在しているという感じ。

田野の港を望む

白糸の滝を水源とする棚田もあれば、棚田の間をぐねぐねと道が走るという生活感が溢れる感じに、親近感の湧く感じの棚田です。

白糸の滝の下流にある棚田

なお、田んぼにはがっちり柵が設けてある場所が多く、過去に見学者が侵入してやらかしたのかなって感じもある棚田でした。

作の向こうには白鷺

ストレートに海に向かうワイドな「駄竹の棚田」。夕陽も絶景

半島の湾になっている場所にあり、なだらかな斜面に作られた棚田が、海へ向かう階段のように連なっているのが「駄竹の棚田」です。(入野の棚田とも)

駄竹の棚田。東には肥前三滝の一つ男滝がある

ここは、「浜野浦」よりも左右が開けているので、夕陽と一緒に撮る場合は、条件はそんなに厳しくなさそうです。

ただ、左右が開けているだけに、画角内でインパクト、緊張感を出すのが難しそうだと感じました。ちょうど撮影に来ていた地元のカメラマンさんに聞くと、条件が良ければ、夕陽が海を渡ってきて息を呑むほどの美しさになるとおっしゃっていました。

ちょうど漁から帰ってきた漁船がいい感じに

柵があって奥までは入れない「納所の棚田」(のうさのたなだ)

納所の棚田は半島の北西端にあって、アクセスするには一本道なのですが、その道に柵が設けてあって、入れないようになっています。

一本道のここまでしか入れない

ここが私道なのか、公道に勝手に柵を作っているのかはわかりませんが、農家の方にとっては「観光する場所ではない」という意志を感じました。

眺め的には棚田と海というこの辺での定番的な構図で、やはり夕陽の時間は素晴らしいだろうと予想できます。

ただ、残念なことにけっこう耕作放棄地が目立つ感じでした。

柵の手前から撮った納所の棚田の全景。沖に浮かんでいるのは向島という人口約70人の小さな島です

まとめ

棚田の眺めは、水がはられて水鏡が美しい時期、稲が植えられて田んぼらしくなった時期、緑の稲が風にそよぐ時期、稲穂が頭をたれる時期、雪に埋もれる時期など、一年中見所があります。

特に「大浦」「浜野浦」「駄竹」は棚田としての見応えがあるので、ぜひ東松浦半島でドライブする時は、棚田巡りも楽しんでみて下さい。

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