伊豆旅行で友人が絶対行きたいと主張したのが、中伊豆の伊豆市にある小さなテーマパーク「伊豆極楽苑」。
行きたい理由を聞くと、どうやら「熱海秘宝館」のように、ちょっとHな展示で満載のB級施設で楽しそうとのこと。
それなら行く前にあれこれと調べたりせず、現地で実際に見て楽しむのがよかろうと、事前情報全くなしで行ってみたのだが、これが施設のサイズに見合わず恐ろしく面白くてためになる場所だったのだ。
目次
中伊豆の山道に突如現れる地獄・極楽空間
施設を目指して国道136号の山道を走らせていると、天城の山間を流れる船原川のほとりに伊豆極楽苑の施設が見えてきます。
この付近は夏になると蛍が舞う、自然豊かな場所です。
こんなナチュラルな場所にエロ満載の秘宝館があるとは、なんとも罰当たりな感じさえする立地です。
10台以上は停められる広々とした駐車場には2台の先客があり、レンタカーのわナンバーと沼津ナンバーが停まっていました。
B級テーマパークなので正直、誰も居ないことを予想していましたが、一応、伊豆界隈の人々やレンタカーを借りる観光客にも認知されている施設であることがわかります。
チケットは大人は800円、予約も可能(営業時間や定休日もチェック)
入館料は地獄極楽めぐりのみ600円、秘宝展のみ400円、地獄極楽めぐりと秘宝展(共通券)800円となっています。
なお、秘宝館は性的な展示があるため、18歳以上のみ入館可能です。
ここは、元々訪れるお客さんがたくさんという施設ではないため、予約のない日は臨時休業することもあるそうです。
ここを旅の観光プランに組み込んでいる場合は、事前に電話(0558-87-0253)して予約することをおすすめします。
ちなみに営業時間は10時~16時(木曜定休)です。
最初はお母さんによる地獄・極楽のレクチャー
チケットを買ったら下駄箱に靴を入れて館内へ。
ドアを開けるとそこは、地獄! ではなく、パイプ丸いすが並び、なにやら閻魔様のようなフィギュアがズラリと並び、人が死んでからどのようなルートを辿るかというフローチャートや仏教の六道などが記された空間でした。
ここでは、施設のスタッフであるお母さんにより、死んでから49日間かけて行われる裁判のことなどが紹介されます。
毎日毎日、説明を繰り返しているせいか、お母さんのしゃべりはまさに立て板に水で、内容がすっと入ってくるのが素晴らしいです。
そして、地獄の裁判と言えば閻魔様だけだと思っていたのが、複数の王によって裁かれることがわかり、B級と舐めていたのにいきなり「ほほぅ」と感心させられたのです。
また、この施設の成り立ちについてお母さんに伺うと、浄土教の仏教書「往生要集」の世界観を元に作り上げたと教えてくれました。
手作りっぽさとリアルっぽさが同居する独特な地獄
お母さんの解説が終わると、そこからは自分の足で地獄を巡ることになります。
2階へと上がると、最初に三途の川が現れます。
ここを渡し舟で楽に渡るために、船頭に渡す6文銭を棺桶に入れていたのは有名な話ですね。
あと、ここを見て「黄泉の国」っていう設定はすごいなと感心していたのですが、後で調べてみたら、黄泉の国という設定は日本神話のものなので、仏教を元にした三途の川や地獄という観念とは違うものということを知りました。
その次は、現世での罪の重さを着ている着物で図るという奪衣婆(だつえば)と懸衣翁(けんえおう)が現れます。
閻魔様に合う前に事前審査があるなんて知りませんでしたよ。
そして、地獄の大王閻魔様の登場となるのですが、さきほどのレクチャー通り、実は閻魔様に会うまでに、殺生について調べる「秦広王」、盗みについて調べる「初江王」、邪淫について調べる「宋帝王」、嘘を調べる「五官王」の審査を受けているのです。
閻魔様のもとへとたどり着くのは、死んでから35日目のこと。
閻魔様は、事前審査から死者がどの六道に行くべきかを判断する王なんですね。
よく「嘘をつくと閻魔様に舌を抜かれる」とありますが、実はすでに死者の罪状はまるっと調べつくされているので、嘘を付いても意味ないですし、浄玻璃の鏡というスクリーンには、死者の生前の罪の様子が上映されるので、嘘をつくのは全くの無意味です。
また、裁判の場所は懺悔台とありますが、閻魔様は、「あなたは天上界、あなたは畜生界」などと振り分けするだけなので、閻魔様に懺悔などをしても無駄なのです。
あと、死者の生前の行為や罪悪を書き記しておく「閻魔帳」も有名ですが、全部閻魔様が書いているのではなく、たくさんの下働きの鬼?さん達が書いているんでしょうね。
閻魔様については、世界で最初の人間、世界で最初に死んで冥界に行った、実は優しい地蔵菩薩の化身、インドにおけるヤマ(ジャムシード)、地獄・冥界の王などという設定もあり、肩書が多すぎで盛りすぎって感じです。
閻魔様に裁かれ、地獄に落とされる
さて、閻魔様の裁きが下ると、あとは亡者それぞれの罪に見合った地獄へと落とされます。
ここからも、これまで同様、手作り感のある人形や絵画で地獄ワールドが続きます。
殺生や飲酒などの罪ではお馴染みの「釜茹で」があったり、等活地獄や衆合地獄など八大地獄の雰囲気を味わえます。
そして、地獄を見て回った後には、なぜか唐突に極楽行きが決まるのです。
回転させるとお経を唱えたことになる便利な仏具・マニ車のように、ここを歩くだけで、地獄の責務を果たした、的な感じになるのでしょうか?
極楽浄土行きが決まると最後には仏様・阿弥陀様の胎内くぐりが待っています。
ここは地獄と比べるとぱっとしなかったので、あまり記憶がありません。
秘宝展は地獄・極楽と比べていまいち
地獄・極楽を見て回ると、次はこっちがメインという人も多いかと思う「秘宝展」です。
一度入り口からでて、建物裏手の階段を上り、2階の小スペースが秘宝展です。
内容は、伊豆で発生したとされる真言立川流48手と、その他世界各地の性具などが見られます。
地獄極楽めぐりでは、手作りでも精一杯地獄極楽の雰囲気を伝えようと頑張っていたのに、ここはただ、物を並べただけ、しかも特にエグさやグロさに振り切っているわけでもないものが陳列されているので、拍子抜けです。
秘宝系に興味がなければ、ここはスルーでも良いかもしれません。
お土産にはオリジナルグッズなどが揃う
あまり物販に力を入れている感じではありませんが、古墳シンガー・まりこふんが制作したテーマソングCDや、極楽結縁お守り、エンマ様が見てるTシャツなど、オリジナルグッズを購入できます。
伊豆極楽苑のアクセス
車の場合は、修善寺駅から県道349・国道136経由で約15分、下田駅から国道414(下田街道)経由で約1時間、 東名自動車道・沼津ICもしくは新東名・長泉沼津ICからだと、伊豆縦貫自動車道を利用で約40分です。
公共交通機関利用の場合は、東海バスでバス停・修善寺駅から松崎経由・堂ヶ島行き(長八美術館行・土肥フェリーターミナル経由)に乗り、バス停・宝蔵院前で下車すると目の前に伊豆極楽苑の建物があります。
ただ、運行本数は1時間に1~2本なので、バスを利用する際は、事前に時刻表を見て予定を立てておくことが必要になります。
B級だと舐めてかかるとその面白さに舌を巻き、秘宝展のHさに期待していくとしょんぼりしてしまう。
そんな裏切りの連続が伊豆極楽苑の魅力です、ここで紹介した写真はほんの一部なので、ぜひ自分の目で地獄と極楽の様子を確認して下さい。
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