湯の川温泉発祥の地に建つ、湯の川温泉の鎮守「湯倉神社」を参拝

函館の有名温泉地、湯の川温泉には大事にされている鎮守の「湯倉神社」があります。函館バスのバス停が多くあり、函館市電の終点駅・湯の川の目の前にもある神社に参拝してきたので、神社の歴史や境内の内容を紹介します。

目次

起源

参道の手前にある境内案内図

湯倉神社の起源は500年以上も前の15世紀中頃にさかのぼります。享徳二年(1453年)頃、きこりが家に帰る途中に現湯倉神社近くの小高い丘で一休みをしていたところ、沼沢地で湯気が立っている自然湧出の湧き湯を発見しました。その後、きこりが病気になり腕の関節の痛みがひどくなったとき、湧き湯で湯治をしたら病気が完治。そのことを感謝して、きこりはお礼にと薬師如来を刻み、小さな祠(ほこら)を建てて安置したのが、湯倉神社の起源です。

ほかにも、享保二年(1717年)の松前藩調べで「建立百年位」という記述を確認し、元和三年(1617年)には湯座に薬師如来を祀っていたとされています。

また、松前藩第九代藩主高広が、幼少時(千勝丸)、承応二年(1653年)に重病を患った際、母・清涼院の夢での神のお告げをきっかけに温泉を発見。千勝丸は湯治で全快し、翌年の承応三年(1654年)に社殿を改造し、知内産の砂金で五寸四分(約一六センチメートル)の薬師如来像を安置し、直径六寸三分(約一九センチメートル)の鰐口を奉納したとされます。

15世紀の話が伝承(おとぎ話)だとしても、17世紀にはほぼ確実に湯倉神社と湯の川温泉が地域の人に認知されていたことになりますね。

祭神

祀られている神様は3体です。

・大己貴神(おおなむちのかみ)【別名:大国主命、大物主命、大穴牟遅神】

大国主命という名前のほうが有名かもしれません。国津神の最高神とされ、国土経営・医療・温泉・開拓などの神様です。

・少彦名神(すくなひこなのかみ)

医療・酒の神様です。湯治で知られる湯の川温泉ならではの神様です。

・倉稲魂神(うがのみたまのかみ)

全国のお稲荷さんの祭神です。社殿に向かって右手には稲荷大明神があります。

社殿

本殿と社務所は渡り廊下で結ばれている

昭和十六年(1941年)に造影されたのが現在の社殿です。正面から見ると、切妻のむくり屋根の先に曲線を連ねた破風板が付けられた唐破風(からはふ)が立派に見えます。

また、建築様式は権現造りで参道から正面に見えるのは本殿、その後ろに中殿で連結された拝殿が控えます。

神兎(なでうさぎ)

社殿右手にはうさぎの石像があります。うさぎは本神社の祭神・大己貴神(大国主命)と縁起が深いもの。神話「因幡の白うさぎ」において、うさぎはワニ(サメ)を騙して皮を剥かれ、さらに出雲の国の神様に嘘をつかれて、海水を浴びて悲惨な状態でした。それを助けるための助言をしてあげたのが大己貴神(大国主命)なのです。

顔のつくりはちょっとネズミ系なうさぎさん

湯倉神社の神兎(なでうさぎ)は平成26年(2014年)に作られたばかりでまだ新しいですが、いずれなでられた部分がすり減っていくのでしょう。

豊受稲荷神社

稲荷神社の鳥居ってなんで重ねるんでしょうね

朱塗りの鳥居が7基立ち並ぶ先に稲荷大明神が祀られています。稲荷社って色々なところで見かけますが全国で約2万もあるそうです。

なぜ、鳥居が多いかについてですが、約1万基の鳥居を誇る京都伏見稲荷大社のホームページに答えがありました。『願い事が「通る」或いは「通った」御礼の意味から、鳥居を奉納する習慣が江戸時代以降に広がった結果です。』(以上引用)だそうです。

日吉神社(ひえじんじゃ・ひよしじんじゃ)

朱塗りの稲荷と比べると質素に見える

滋賀県の比叡山にある日吉大社(ひえたいしゃ)を勧請したのが日枝神社です。Wikiにまとめられているだけで全国で150社、そのほか大小合わせて全国2000社、日吉大社の神様の御霊(みたま)を分けた「分霊社」も含めると約3800社もあるそうです。

狛犬

狛犬は大鳥居の前と社殿前、日吉神社前の3対あります。大鳥居と社殿前の両方は新しく見え、わりと最近に奉納されたものと見られます。社殿前の狛犬はやたらとシャープな感じ。日本古来というより中国風って感じのデザインです。

大鳥居の前の狛犬はちょっとアニメチックかも

社殿前の狛犬。かなりシャープ

日吉神社前の狛犬は古いもので、石の表面が風化してザラザラとした感じになっています。

悪霊から聖域を守る狛犬はやっぱ古びている方が風格がある

ちなみに狛犬って、神社に向かって右手にいる口を開けたのが「阿形」(あぎょう)で獅子、左手の口を閉じているのが「吽形」(うんぎょう)で狛犬とも言われています。「阿形」「吽形」は阿吽(あうん)の呼吸で知られていますが、実は右にいるのは獅子だってのは初めて知りました。

左にいる口を閉じている方が本当の意味での狛犬

みこし殿

蔵みたいなつくりのみこし殿

お祭りで使うお神輿が収納されていて、門が開いているので見学できます。また、ここには当社の祭神・大己貴神(大黒様)にちなんだ、開運招福・諸願成就・健康長寿・身体堅固の御利益がある小槌も飾られています。

小槌には大きい小槌・開運小槌と小さい小槌・健康長寿小槌があります。開運小槌は願い事を記念しながら振るもので、健康長寿小槌は体の気になる箇所を撫でながら身体堅固を祈念するものです。

湯蔵神社公式HPより

社務所

授与品のお守りなどを販売しています。函館にちなんで1杯300円のイカすおみくじがあり、この中には北海道弁のえぞおみくじも入っていて、なかなかユニークです。

大きな看板でアピール

湯川温泉発祥之地碑

地味目の石碑です

湯の川温泉の発祥を記念して昭和22年9月に湯川倶楽部が建立したものです。神社の鳥居から40mぐらい東に行った角っこにあります。

湯川忠魂碑

明治44年(1911年)に建立されたもの

日清・日露戦争に出征し、戦争で亡くなった同地区の戦没者らの慰霊顕彰碑。

結びの銀杏・湯倉の大銀杏

ぎんなんがたわわに実る様から「実を結ぶ」「縁を結ぶ」「想いを結ぶ」などと健康長寿・子孫繁栄などの信仰の対象になっているイチョウの木。湯倉の大銀杏は、樹齢約220年とされ、非常に立派です。

ただし葉っぱが落ちた姿は少し寂しい

神社データ

◆神社データ◆

アクセス
函館空港から
・車で約10分
・函館バスとびっこや100系統などで約20分
函館駅から
・車で約15~20分
・函館バスや函館市電などで約30分
 
電話:0138-57-8282
 
参拝自由
 
駐車場
無料100台