中学時代の同級生達と卒業後初めての旅行に行くこととなった。
選んだ場所は、首都圏から近く、そこそこの旅感覚も味わえる伊豆の下田。
そして、道中のアルコール摂取を気にしなくても良い、電車での旅をセレクトした。
近畿日本ツーリストで宿1泊2食付きと電車往復券が付いて2万1200円という安価なツアーを申し込み、東京からレトロな踊り子号に乗り、わずか3時間弱で南国リゾート感が漂う伊豆下田に到着し、40代のおじさん達による旅行が始まる。
※この旅行記は2017年4月8日・9日のものです。
目次
踊り子号の始発駅は東京駅、駅弁を買って9番線から乗車する
電車は、伊豆急下田駅に昼前に着く踊り子105号をセレクト。
9時ちょうど発の電車なので、余裕を持って8時40分には東京駅に着いておくことにする。
東京駅に着いたら、駅弁&ビールの購入タイム。
中央通路の6番線と7番線の間にあるのが、全国各地の有名駅弁や人気駅弁、オリジナル駅弁や期間限定駅弁など、200種類以上の駅弁が揃う「駅弁屋 祭」だ。
ライブキッチンでできたてアツアツのお弁当を買うこともできる
電車旅にぴったりの駅弁が揃う中、北海道の「いかめし阿部商店」の「元祖森名物 いかめし」をセレクトし、ビールも2杯買って準備万端です。
小学生の頃にNゲージで買った懐かしの車両がそこに
駅弁を買って、8時50分には電車が待つ9番線へと上がることができた。
すでに入線していたのは、白地に緑をあしらったレトロなデザインの踊り子号。
小学生の頃になんとしても電車の模型が欲しくて、Nゲージを買って貰ったことを思い出した。
お小遣いなどはなかったのでお金がなく、値段の高い先頭車両は買ってもらえず、安い中間車両1台を大事にしていた。
電車に乗ってその話をすると、友人もなぜか踊り子号のNゲージを持っていたことが発覚。
友人はちゃんと先頭車両を持っていたので、軽く嫉妬する。
本当は展望列車であるスーパービュー踊り子に乗りたかったのだが、ツアープランに含まれていなかったので諦めた
これの名前って何ていうんだろう… バー? ハンドル?
眺望を楽しむなら海側の席を取るべし
下田行きの列車は海沿いを走る。
その際、海の眺望を楽しめるのは、下りの場合進行方向左側となる。
なので、席を予約する際は、海側となるAもしくはBを取ることをオススメする。(帰りも同じでAかBで海側となる)
実際に車内は、海側である左側にお客さんが集中。
集中と行っても、2割ほどしか埋まってなくて、「踊り子大丈夫か?」と心配になったりもするが。
出発してすぐに乾杯、友人は車内販売でコーヒーなどを買う
電車は定刻通り9時に東京駅を離れた。
早速、駅弁を開封する。
今回選んだ「元祖森名物 いかめし」は北海道の駅弁の代表格。
生スルメイカの胴にうるち米ともち米を混ぜた生米を詰め込み、甘辛のタレで炊き上げた逸品だ。
全国の駅弁が集う大会で優勝したり、北海道物産展の常連だったりするので、元の販売場所であるJR北海道・函館本線の森駅に行ったことがない人でも食べたことのある人は多いと思う。
発車からわずか10分ほどで車内販売のワゴンがやってきた、友人はコーヒーなどを購入。
車内販売って高いイメージがあるから、自分は基本的に乗車前に色々購入してしまうが、車内販売で買うのも旅っぽくていいなと思う。
あいにくの雨で車窓はいまいち
伊豆に入ると伊東などで電車の車窓から海を眺めることができるのだが、雨によって視界は悪い。
それでも熱川駅そばには温泉を組み上げる温泉櫓が立っていて、温泉地に来たという旅情を掻き立ててくれるし、視界が悪いながらも海が見えてテンションが上がったりもする。
時間通りに伊豆急下田駅に到着、出迎えてくれるのは可哀想なカメ
踊り子号は定刻通り、11時46分に伊豆急下田駅へと到着した。
東京から神奈川県を通り過ぎ、静岡県に着いたわけだ。
電車を後にして改札を出ると、下田海中水族館による「祝ウミガメ伊豆急オモシロ駅長就任」との表記がある水槽があり、アカウミガメが泳いでいた。
しかし、カメのサイズに対して水槽がひどく小さいように感じて、「かわいそう」という感想しか抱けなかった。
和歌山電鐵貴志川線貴志駅で駅長を務めた三毛猫のたまにあやかったものだとは思うが、あちらは自然体で駅の売店にいたからこそ人気が出たのだが、小さな水槽に閉じ込めて、押し付けがましい“おもしろ駅長”を名乗るのは、なんか違う感が強かった。
実際カメがストレスを抱えているかどうかはわからないし、そう考えてしまうのも人間のエゴかもしれない、あまり深く考えるのもあれだし、切り替えて下田の町へと繰り出すことにする。
ちなみに、カメの水槽の斜向かいの駅構内には伊豆急トラベル下田の観光案内所があって、各種パンフレットや下田のガイドマップなどが入手できる。
施設の入館割引券や食事処で1品サービス・立ち寄り湯割引などに使えるクーポンが貰えるので、節約派なら見ておいて損は無いはず。
駅前の人気店「網元料理 徳造丸 下田店」へ直行
駅を出て、ロータリーを横断した先にあるのは、「網元料理 徳造丸 下田店」。
友人がテレビで見た「あぶらぼうず」を食べたい、とリクエストがあったので、あぶらぼうずを食べられるお店を調べてこのお店に決めていた。
自分は「海女丼2100円」、友人達は「あぶらぼうず煮膳2700円」、「金目鯛煮魚と刺身膳2100円」をいただいた。
それぞれ、魚の美味しさは素晴らしかったのだが、誰もが口を揃えたのが、金目鯛のアラが入っている「アラ汁」。
魚ダシの美味しさに加え、旨味が深くトロッとしたアラ肉のついたアラが2~3切れ入って、本当に美味しかった。
荷物をホテルに置いてからペリーロードを散策
食事の後は、本日泊まる「黒船ホテル」に行って、荷物を預かってもらうことに。
電話で送迎車を呼んだのだが、スタッフさんが「黒船ホテルと書いてある」という車が見当たらない。
駅前ロータリーには真っ黒なバンが止まっていて、友人たちと「これ黒船っぽいね」などと笑っていたが、実際そのバンが送迎車だった。
「黒船ホテルってどこにも書いてないじゃん」と思ったが、後ろを見たら、薄いスモークガラスの向こうに黒船ホテルの名前があった、雨粒もついてさらに見にくく「これわかんねーよ」と、思わぬ下田の初笑いをいただいた。
宿から下田の町へと繰り出す
宿で荷物を預け、下田の町へと徒歩で繰り出す。
まずはミュージアムや回転寿司屋、土産屋などが入る「道の駅 開国下田みなと」へ。
干物や海苔などを販売する土産屋はこじんまりとしたサイズで、チラ見しただけで後にする。
以前来た時に「地魚回転鮨 魚どんや」で寿司を食べたが、安いし地魚が揃っているしですごく良かった記憶がある
向かうは、1854年にペリー艦隊が下田に来航し、日米和親条約の細則を定めた付帯協定・下田条約を締結するために、ペリーが歩いた道を観光地とした「ペリーロード」
当時、ペリーは300人の部下を引き連れて、交渉の場所である了仙寺まで行進したといいます。
ペリーロードに到着、まずは了仙寺を見学
のんびり歩いて、「道の駅 開国下田みなと」から了仙寺まで20分程で到着。
道中には、閉館した旅館を2軒ほどみかけ、歩いている観光客もほとんど見かけず、下田という町の寂れ具合を肌で感じてしまった。
さて、到着した了仙寺は寛永12年(1635年)創建の日蓮宗の寺。
境内には、本堂を始め、黒船来航時の絵巻物や肉筆画、錦絵やかわら版、外交関係の報告書や資料などを展示するMoBS(黒船ミュージアム)があります。
また、本寺は別名ジャスミン寺とも呼ばれ、5月中旬から下旬にかけて、境内から参道を数百株のアメリカンジャスミン(においばんまつり)が咲き乱れることでも知られます。
下田随一のおしゃれスポットペリーロード
了仙寺の山門をくぐると、しっとりとした風情の小道が現れます。
そこを抜けると、道沿いに柳が立つ、これまた趣きのある通りに出ることができます。
ここがペリーロードの本通りで、通り沿いには、廃れた温泉街下田にはちょっと似つかわしくないような、おしゃれなショップやカフェなどが揃います。
しかし我々は、おじさん三人組。
オシャレスポットには目もくれず、ペリーロードを逸れてしまい、長楽寺の境内に到着しました。
長楽寺は日露和親条約調印の場所
日米和親条約の下田条約が1854年の6月なら、その翌年1855年2月に日本とロシア帝国プチャーチン海軍中将の間で締結されたのが、日露和親条約。
その批書交換が行われたお寺が長楽寺です。
来訪した時は、桜は3分咲きといった感じで、宝物館の管理人のおばあさんによると、「長年下田に住んできてこんなに咲くのが遅いのは初めて」とおっしゃっていました。
その宝物館では、ハリスの奉仕役として差し出されたお吉観音や悲恋のおすみ弁天を祀っています。
興味深いのは、地獄絵図のような浮き彫りの作品で、これは広島と長崎の原爆の様子を描いたもの。
実は下田では第二次世界大戦末期の1945年(昭和20年)に、複数の住人が、落下傘に吊るされた爆弾のような円筒形の物体が沖合に落下するのを目撃していたという事があり、「下田に原爆を落としたが不発だった」「原爆の投下テストとして実施した」など説があるそうです。
イルカと一緒に泳げる下田海中水族館
長楽寺を出た後は、ペリーロードに戻らず「下田海中水族館」へと向かった。
実は旅の目的に下田を選んだのは、「下田海中水族館でイルカと泳げる」という情報に惹かれたからであり、とりあえず行ってみようという感じになったのだ。
住宅街から木々の間を進む道となり、トンネルを抜けると「下田海中水族館」はあった。
入り口の前にはカメがいっぱいいるプールがある
ここは、天然の入り江を利用したレイアウトの水族館で、海の上に浮かぶ海中展望施設や海を利用したドルフィンスイムなどがウリだ。
私はドルフィンスノーケルなどの動画などを見て、ガラパゴスでカメやアシカと一緒に泳いだ経験と比べると、「かなり劣る」と感じてしまい、入館料の2000円とドルフィンスノーケル6500円(シュノーケルやウェットスーツなどのレンタル代は別)が高いと思ったので行くのをやめた。
ただ、本土の水族館でイルカと泳ぐ経験はかなり貴重なので、イルカ好き、生き物好きの方は行くのも全然ありだと思う。
海沿いを歩くと野良猫の集会所を発見
「下田海中水族館」を後にして、海沿いを北上していくと数匹の猫がたむろっていた。
そこは「磯料理 辻」という、海産物問屋の3代目が営み、伊勢海老や金目鯛が美味しいことで有名な魚料理屋のそばであり、もしかするとお店の人が余った魚などを与えているのかもしれない。
ただ、猫達の眼光は鋭く、警戒心むき出しで野生という感じの野良猫だった。
吊橋で渡れる小さな島「雁島(かねしま)」
猫の集会所のそばには「雁島(かねしま)」という小さな島と、「犬走島」という防波堤で陸と地続きになっている島がある。
土曜日なのに乗船客は少なく、下田の寂しさを一層感じた。
「雁島(かねしま)」には小さな島に似つかわしくない、立派な吊橋がかかっていた。
見た目では大丈夫そうに見えるのだが、橋の袂の微妙な位置に下田市と書かれた看板が置かれている。
橋を完全に遮断しているなら「通行止め」と認識できるのだが、橋の手前1.5mほどに置かれると、「注意」なのかもしれない。
しばし迷ったが、自己責任という名の下、吊橋を渡ってみた。
島には、石室神社という小さな社と金目鯛の魚霊碑があり、わずか3分ほどでぐるっと一周することができた。
島にある手すりは朽ちて傾いているし、以前は島の周囲を囲っていたっぽい策も土台だけを残して無くなっている。
その危険性から吊橋の手前に看板を置いているのかもしれない。
その先の「犬走島」の防波堤は、入り口のところに完全に進入禁止との注意書きがあった。
また、駐車場には車が止まっており、監視役なのか、一人の老齢の男性がいたので、眺めるだけにとどめた。
ただ、下田市観光協会のホームページには、「歩いて渡ることができます。」「防波堤にはいつも釣り客が多く、下田港が見渡せ、眺めの良いスポットでもあります。」という記述も見られ、どっちが正解なのかはわからない。
さらに歩を進め、半島の北岸を歩いているとペリー艦隊来航記念碑があった。
その後、中型のスーパーマーケット「フードストアあおき 下田まちだな店」に立ち寄り、宿での酒を購入した。
ちなみに、このお店の生鮮コーナーでは金目鯛の干物を販売していたが、駅前の土産店よりも全然安かった。
海外旅行では、現地のスーパーで珍しい土産物などをゲットできるが、このスーパーでお魚系の土産を買うのも良いかも知れない。
宿で金目鯛を食べて温泉に浸かってマッサージして極楽
13時45分ぐらいにホテルを出発して、2時間ちょっと散策してから16時過ぎに「黒船ホテル」へと戻った。
宿では夕食、温泉の露天風呂、マッサージ機でくつろぎ、ゆったりのんびりさせてもらった。
右上から時計回りに「造里・季節の魚盛り合わせ」「焼物・金目鯛朴葉味噌焼」「名物・金目鯛煮付」「強肴・海鮮鍋」
このホテル、1963年の創業で、2017年現在で54年の歴史がある古いホテル。
いろいろな所に老朽化が見られるが、スタッフの対応良し、御飯の内容良し、露天風呂の眺望良しと、かなり満足度は高いホテルだった。
下田の一日目はこうして過ぎていったわけだが、町の所々で大型ホテルの廃墟を見かけ、観光客は両手で足りる分ぐらいしか見かけなかった。
小雨が降ったり止んだりという悪条件はあったが、あまりに寂しい感じ。
半島の先っぽなので他の観光地と組み合わせることができず、目玉となる強力なコンテンツもないので、なかなか集客は厳しいのかもしれない。
ただ、夏となれば白砂のビーチが出迎えてくれるし、1月の水仙、6月のあじさいも楽しめる。
そんなに混んでいないのでまったりと過ごすことができるのも、のんびり派にとってはプラスになるでしょう。
そして、レンタカーを借りれば、中伊豆や西伊豆にも脚を伸ばすことができる。
実際、我々は二日目にレンタカーを借りて出かけたので、続きではその様子をお届けします。
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