全部地面の下に埋まっている珍世界遺産「三重津海軍所跡」。VRで当時の海軍施設まるわかり

今でこそ佐賀県は九州の中で地味な存在になってしまっていますが、幕末・明治維新の頃の佐賀藩は造船や操船、科学技術において日本トップクラスの座に君臨していました。

その当時の造船所・海軍施設として作られたのが「三重津海軍所」で、現在は「明治日本の産業革命遺産 」として、「三重津海軍所跡」が世界文化遺産に登録されています。

その遺構は木材でできているので地上で露出していると空気にさらされて乾燥で風化してしまいます。そのため、保護という観点から現在は地中に埋め戻されています。

それならもっと昔からある法隆寺五重塔とか埋めなきゃってことになるかもですが、三重津海軍所跡の遺構は海水にさらされていたので、ぼろぼろなのではないでしょうか。かなりもろくなっていて風が吹いただけでも壊れてしまうほど繊細になっているのでしょう。

見えない遺構をどうするか、そこで考えられたのが、当時の三重津海軍所の姿を現代によみがえらせるためのVRという画期的な見学方法でした。

三重津海軍所跡周辺マップ

目次

まずは、佐野常民記念館でVRを体験するためのヘッドマウントディスプレイを借りる

「三重津海軍所」は地中に眠っているので、訪れてもそこには何もありません。

世界遺産という肩書が嘘のようになにもない

CG映像と音声ガイダンスでどこに何があったのかという解説を見たり聞いたりするためには、「みえつSCOPE」というVR用のヘッドマウントディスプレイを借りる必要があります。

貸出場所は、「三重津海軍所跡」に隣接して建っている佐野常民記念館の2階になります。

建物の東側から入るとそこは2階のフロア

貸し出し時間は9:00~16:30で、本人確認書類(運転免許証・保険証など)があれば無料で借りられます。(雨天時は貸し出し不可)

これに記入するだけで借りられる

耳にイヤホンをして、「みえつSCOPE」を首からかけたら幕末の「三重津海軍所」への旅がスタートです。

装着イメージ

安政・文久・慶応の頃の「三重津海軍所」が蘇る

「三重津海軍所跡」は船屋地区・稽古場地区・修覆(しゅうふく)地区の3つの地区からなります。

VRは全ての場所で過去の建物などが見られるわけではなく、各地区ごとに番号の付いたフラッグと解説板があって、そこで音声による解説付きでVRを楽しむことができます。

1番では、少し高くなった所から「三重津海軍所」の全景を見たり、2番では「三重津海軍所」の始まりの地である船屋地区を見たり、5番では修覆場地区のドックを見たりと、約160年前にどのような敷設があって、どのような修練を行っていたのかがよく分かります。

ナンバー付きのフラッグが立っている

船屋地区

「三重津海軍所」の創設前は、藩の和船運用施設として使われていた小さな入江。1858年(安政5年)に「御船屋」が拡大され、海軍の伝習機関が設置されたのが、海軍所「御船手稽古所(おふなてけいこしょ)」のはじまり。

何もない入江。蒸気船のレプリカでも浮かべればよいのに

稽古場地区

幕府の教育機関である長崎海軍伝習所(1855~1859)で学んだ伝習生たちが佐賀藩に戻って教官となり、藩士らに航海術や測量術、造船術などを教育した場所。

ここでは、大砲の射撃訓練なんかも行われていた。

イメージ(三重津海軍所跡HPより)

日本国内で最古のドライドックがあった修覆(しゅうふく)地区

修理のためのドライドックがあった「御修覆場」と洋式船を修理するための金属部品製作加工を行った「製作場」からなる場所です。ここが三重津海軍所跡のメインスポットと言えるでしょう!

相変わらず何もありません。一応本人はVRで楽しみながら回っています念のため

ドライドックとは、船を入渠させたあとに排水して船体を水から露出できるドックのことで、ここでは有明海の日本一の干満差を利用して水を排出して船の管理や修理を行っていました。

西洋のドックは石やレンガ製ですが、三重津海軍所は日本伝統の木や土、和船に使う「船釘」で作られているという点でも貴重なドックです。

こんな感じだったらしい

上空からのイメージ

また、1865年(慶応元年)には日本初の実用蒸気船「凌風丸(りょうふうまる)」がこの地で完成しています。

約2年かけて作られた「凌風丸」は、長さ約18.2m、幅約3.3mの外輪船で、主に有明海で要人輸送などに活躍しました。

三重津海軍所跡のイメージ。手前の外輪船が凌風丸かな

ドーム型「みえつドームシアター」やオキュラスリフトで当時の賑わいを知る

佐野常民記念館の1階にある、直径6mのドーム型シアターが「みえつドームシアター」です。

ドームというよりモンゴルのゲルっぽい

ここでは、ドライドックの中に立つという視点で、三重津海軍所創設に至る佐賀藩のストーリーを約5分間の映像で紹介。

大きな洋式船を見上げて、修理の様子を見たり、有明海の干満で水が引いてドックとして機能する様子などがわかります。

これはドックを作っている様子

また、「みえつドームシアター」の前では、Oculus社の人気VRHMD(ヘッドマウントディスプレイ)オキュラスリフトを使った動画でのタイムスリップ体験もできます。

没入感たっぷりの360度見渡せる広大な空間の中で、侍と蒸気船が活躍するという、約160年前の三重津海軍所の賑わいに、簡単に溶け込むことができます。

この「みえつドームシアター」と「オキュラスリフト」での体験は、「三重津タイムクルーズ」として実施されています。

パネルや実写映像でより鮮明に「三重津海軍所」をイメージできる「インフォメーションコーナー」

佐野常民記念館の3階には、「三重津海軍所」についての展示を行う「三重津海軍所跡インフォメーションコーナー」があります。

つまり、佐野常民記念館には、1階に「三重津海軍所」の時代にタイムスリップできる「三重津タイムクルーズ」があり、3階に展示を行う「インフォメーションコーナー」があるということになります。これらは全て無料です。

そして2階には、総合案内と「三重津海軍所」創設に尽力した佐野常民関連の展示を行う記念館(有料)というレイアウトです、わかりにくいですよね。

さて、3階にあがって「インフォメーションコーナー」に入ると、まずはあたたかいお茶のサービスがありました、外で「みえつSCOPE」を使って「三重津海軍所跡」を歩いてきたところなので、これはありがたかったです。

確か地元のお茶である嬉野茶って言ってた気がします、うろ覚えですが。

3階にあがってすぐの場所にある実物大パネル

そして「三重津海軍所」についてのパネルや映像、復元模型などがみられます。

正直、CGでの復元映像より、模型や実写のほうがイメージが湧きます。

特に、ドライドックの復元模型では構造がよくわかるし、実写を使った原寸大パネルはその大きさが実感できます。

ドライドック復元模型

あと、洋式船の修理に使われたリベットやボルト・ナットなどの出土品も展示されていて面白いです。

大事なものなのに放置したのかなとちょっと不思議になる

韮山反射炉や橋野鉄鋼山(釜石)などほかの明治日本の産業革命遺産についての解説もあった

まとめ

見えない世界遺産というかなりマニアックな「三重津海軍所跡」。

VR機器を使って当時の様子をみることで、想像力をフルに働かすことができるという点では刺激的です。あと、VRとか展示が無料なのも嬉しいです(佐野常民記念館展示だけは300円)。

歴史好きや船好きにはたまらない施設でしょう。

一方、それらに興味のない人にとっては、ちょっと退屈かも。

近くには井手ちゃんぽん諸富店や筑後川昇開橋など、グルメと見どころスポットもあるので、それらとまとめて観光すると良いかもしれません。

 

■施設情報

・名称:三重津海軍所跡(みえつかいぐんしょあと)

・料金:見学、VRレンタル無料(佐野常民記念館展示室のみ300円)

・住所:佐賀市川副町大字早津江津446-1

・アクセス:JR佐賀駅から車で約25分 佐賀市営バス・バス停中早から徒歩7分(バス停佐野常民記念館入口だと8分)

・営業時間:佐野常民記念館9:00~17:00

・定休日:佐野常民記念館毎週月曜日(月曜が祝日、振替休日の場合、翌日) 12月29日~1月3日

・電話番号:0952-34-9455

・駐車場:あり